38.女魔王イリスの新装備会議1(原作)
前回、ちょっと冒険したので、今回はスタンダードな感じでいきます。
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・女魔王イリスの新装備会議1
魔王軍参謀セルシ・ボイルは厳かな口調で口を開いた。
「諸君。問題が発生した」
魔王城の会議室、魔王直属の幹部が集まっている。皆、深刻そうな顔を浮かべていた。セルシは言葉を続ける。
「魔王様が、新衣装をご所望だ」
幹部たちは顔を見合わせた。獣人族のニャハリンが疑問の声を上げる。
「魔王様はどんな衣装をご所望なのかニャ?」
“クッ”と悔しそうにしながらセルシは返す。
「それが、露出度を減らすようにと指示を出された……」
「なんと!」
と、幹部達は動揺を見せる。
「そうだ! 我々が誠心誠意説得をし、なんとか納得していただいたあの合理的な装備を魔王様は猜疑されているのだ!」
セルシは滂沱の涙を流しながらそう叫んだが、直ぐに落ち着きを取り戻すと続けた。
「……しかし、気を取り直そう。ビキニは無理でも、なんとかワンピースは受け入れてもらえるように努力するつもりだ」
そこで声が響いた。
「僕に提案がある」
聞きなれない声。その姿に魔王の部下達は愕然となる。
「ちょっと待て。なんで、勇者がここにいるんだ?」
そう。そこにいたのは人間界の勇者だったのだ。
「細かい事は気にするな」
「細かくないから気にしているんだ」
「とにかく、僕に提案がある」
「まぁ、いい(いいのかよ)」と舌打ちすると、セルシは言う。
「なんだ? 言ってみろ」
「真っ裸…… というのはどうだろう?」
幹部達一同は思った。
“……衣装ですらねぇ!”
幹部の一人、オクランが言う。
「そんな事、できるはずがないだろう?」
幹部達の誰もが同じ意見だった。が、勇者は不遜な表情で語る。
「ふふん。そう思うだろう?」
目をカッと見開いて続ける。
「ところが、人間社会にはそれを可能にする知恵が伝わっているのだ!」
「なにぃ?! それは本当か?」
「本当だとも。その名を“裸の王様”と言う!」
女魔王イリスの部屋。
セルシが言う。
「魔王様。こちらが新衣装になります」
「は?」とそれにイリス。
「ないではないか」
「はい。実はこちらは馬鹿には見えない装備となっておりまして……」
イリスは静かに青筋を浮き上がらせていた。
――会議室。
「怒られてしまったではないか!」
と、セルシが勇者に文句を言った。ニャハリン呟く。
「考えてみれば、仮に騙せていたとしても馬鹿には見られちゃうんだからダメなんじゃないかニャ?」




