14.普通の形式にチャレンジ…… ただし、ノープラン
十分に4コマ漫画の実力がついたかどうかは分かりませんが、いつまでも4コマばかりを作ってもいられないので、ここらで普通(?)の形式の漫画にチャレンジしてみたいと思います。
……が、実は何にもイメージできていません!
ただ、普通の形式なら、僕はいくらでも元ネタ(小説のことね)を持っているので取り敢えず失敗覚悟でいきたいと思います。
まずはお話作りから。
いくらでも元ネタがあるとは言いましたが、いきなり長い話を書くのは無理そうなので、短いのをそれ用に考えてみたいと思います。
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■天使沢キュピ美ちゃんと生徒指導
生徒指導室。
天使沢さんは生徒指導を受けていた。男性教師の谷崎が言う。
「不純異性交遊を勧めるのは、どうかと思うぞ天使沢」
隣にいる女性教師の野田が続ける。
「性に興味を持つのは年頃の子なら仕方ないと思うけど、節度は持たないと」
ところがそれに天使沢さんはキラキラとした目で返すのだった。
「先生、お言葉ですが。異性交遊は、子を残し、次代に繋げる神聖な行為です。不純な事など一切ありません!」
彼女のキラキラとした目に、先生二人はちょっと圧されていた。
「特に今は少子化の時代。その解決の為にも出会いはとても重要です。ところがちょっとした出会いの切っ掛けを皆は逃してしまいがち。だから私は活動をしているのです!」
――実は、彼女は少子化問題を解決すべく、天界より降臨した天使なのだった!
天使沢さんに圧されていた野田先生だったが、ふと我に返るとこう指摘する。
「天使沢さん。仕合せな出会いなんて世の中には早々ないのよ。無理にくっつけようとしてはダメ」
しかし、天使沢さんは少しも動じない。
「果たしてそうでしょうか?」
何故か自信満々で続ける。
「例えば、ここにだって、祝福されるべき出会いがあります」
野田先生は不思議そう。
「ここ? 何を言ってるの?」
天使沢さんは谷崎先生に目を向ける。
「谷崎先生。野田先生のことを、憎からず思っていますね?」
それに野田先生は驚いた顔を見せる。
「なっ! なにを言っているの? 大人をからかうものじゃありません!」
顔を赤くしている。
「谷崎先生も何か言っていください。この子、口から出まかせを言い過ぎです」
しかし、そう訴える野田先生に対し谷崎先生は真剣な表情で返す。
「――いえ、野田先生。天使沢は間違った事は言っていません」
「へ?」とそれに野田先生。彼女の目を見つめながら谷崎先生は言う。
「僕じゃダメですか? 野田先生」
野田先生は顔を真っ赤にして応える。
「ダメではありませんが…… 生徒が見ています」
「もう、いませんよ」
驚いて見てみると、本当に天使沢さんの姿は消えていた。
「野田先生…」
野田先生に迫る谷崎先生。
生徒指導室の外。
天使沢さん。
「……ふふ。お仕合せに」
■悪魔坂デビ美とバレンタインデー
「ねぇ、野上君って、どんなチョコが好き?」
尋ねられた野上君はドキドキしている。相手は同じ学年の悪魔坂さん。彼女は年齢にしてはナイスバディで妖艶な雰囲気が魅力的な女生徒だ。
「え? 生チョコとか好きかも」
そう答えながら、彼の中に期待がムクムクと膨らんでくる。
“ひょっとして、悪魔坂さん。バレンタインデーに俺にチョコをくれる気かな?”
「そう…… 覚えておくわ」
そう応えてから、彼女はクルリと背を向けてにやりと笑う。
彼女にはチョコをあげる気など毛頭ない。彼女の本当の目的は、このように男性生徒に期待させておいて裏切り、女性不信を植え付ける事にあった。
――実は、彼女は少子化問題を悪化させるべく魔界よりやって来た悪魔なのだった!
もちろん、彼女は複数人の男子生徒に似たような所業を行っていた。しばらく廊下を歩いて一人になると、彼女は高らかに笑った。
「ホーッホッホッホ! これで男どもは女性に不信を抱き、結婚願望をなくす事でしょう!」
ちょっと情緒不安定かもしれない。ところがそこで声がかかったのだった。
「甘いわね!(チョコだけに) そうはさせないわ!」
声の主は天使沢キュピ美だった。
「そんな事だろうと思って、男性生徒には既に私がチョコを渡してあるわ! あなたからって言ってね!」
「なんですって!」とそれに悪魔坂さん。バレンタインデーはまだなのに。
「なんてことをしてくれるのよー!」
何故かちょっと涙目。
そんな彼女を見て、天使沢さんは「フ」と笑う。
「安心なさい。サイトー君にはまだ渡していないから」
「なっ!」とそれに悪魔坂さん。
「自分で渡したいのでしょう? 彼にだけは」
全てを見抜いていると言わんばかりに天使沢さんはそう続けた。
「うるさい!」
と、悪魔坂さんは言ったけど、否定はしなかったし顔を真っ赤にしてもいた。
後日談。
「ありがとー」
悪魔坂さんからチョコを渡されたサイトー君は嬉しそうにしながらお礼を言った。悪魔坂さんも嬉しそうにする。が、彼はこう続けたのだった。
「義理チョコでも、嬉しいよ」
彼女が何人もの男子生徒に声をかけていることを彼は知っていたのだ。
……まあ、自業自得と言えるかもしれない。
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取り敢えず、これでいこうと思います。自信はまったくありませんが。




