金魚の尾びれみたいな
「金魚の尾びれみたいなもの・・・」
久しぶりにキミと出会った
「久しぶり」の次に出た僕の言葉は
キミに伝わらなくて
あの時と同じ笑顔がのぞいた
あとから
それがスカーフリボンってことを教えてもらった
キミは実際のところ、とても大人びて
学生の僕との二人のあいだには
見えない壁みたいなものがあるように感じた
想像以上にステキになっていて
ただ、それを言葉に出せずにいた僕は
学生の立場であることを差し引いたとしても
ダメだよね
風になびくことのないスカーフをときどき見つめながら
頑張ってるキミに出会えてよかったと
キミと別れたあと
そういえば夏祭りによく出かけたことを思い出してた
あるとき、共通の趣味で盛り上がった
共通の友達に、ばったり会って
何日か後に僕たちのこと「とてもお似合いだね」と誤解された
キミに金魚すくいのやり方を教えては
すぐに破ける紙を覗いては舌を出して笑ってた
だから、キミと会った瞬間に
金魚の尾びれみたいな・・と口に出たのかな
あのときのふたりの会話のように
夢ばかりを語ってた、あのころは
恋についてもお互いの「夢」を語っていたのかな?
たぶん、お互い、気づいていたのだろうけど