とあるショタコンの置き土産
さて、残りはUSB、どんな能力があるのやら。期待を胸に説明書を探すが、代わりに別の説明書があった。
「これを読んでいるということは、私の笛について気になっているということでしょう」
辺りを見回しても笛なんて見当たらない。この言い方に笛となると、たぶんパフォーマーの説明書なんだろう。
「もし笛がないというのであれば、階段横の小部屋に私の笛の音を録った録音魔道具があるのでそちらを使ってください」
小部屋に向かい、ドアを開ける。
中は薄暗く、物置部屋のようだった。実際全ての壁に棚が置かれ、その中に付箋で
「私の演奏を録ったもの」
とラベリングされたトランシーバーのアンテナがない版のようなものが置いてあった。
リビングに戻って説明書を読む。コインで学んだよ、先に説明書を読まないと酷い目に遭う。
「あまり道具には詳しくないのですが、ビルダーさんによると魔道具には中に薄い水晶の板が何枚も入っており、中の針で振動を加えて水晶に傷を付けたら......すいません、この先は覚えてません。とにかく、側面のレバーを引けば音が流れます。音が流れるとどうなるかというと、聴いた人が音が止まるまで動きを止めます。私の音色に聞き惚れてるんでしょうね。そういうことですので、どうか慎重に扱ってくださいね?」
「追記。勇者さんは金髪で童顔の青年と聞きました。もし私とあなたが生きて帰れたらーー」
そこから先は読むのをやめた。読んじゃいけない気がした。