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見たことのある夢

 目覚めると、アサミは暗い空間にいた。上の方からわずかに、本当にわずかな光が差し込んでくる。けどその光は波打っていて、蛇のように止まることなく動き続けている。


 冷たい、暗い、けど何故か、どこかに懐かしさを感じる。それでも、アサミは光のもとへ向かおうとする。


 呼吸がしたくて、アサミは口を開けた。すると目の前に、小さな透明の球体がいくつか現れた。それは光のもとへ昇っていく。


 あれは一体なんだろう。アサミは、あれをどこかで見たことがある、そんな気がして、思い出そうと頭を回す。あれはそう、泡だ。泡が上に浮上しているんだ。


...なんでここに泡が?


「......ッ!」


 気付いた時には、アサミの口には大量の水が流れ込んできた。ここは水の中、自分はそこで溺れ死んでしまう。


 アサミは精一杯もがいて光のもとへ向かおうとする。だけど届かない、いくらもがいて、いくら求めようと光は大きくならない。


 そしてアサミの肺には順調に水が占拠地を広げている。次第にアサミの力が抜け、目の前が真っ暗になった...

____________________________________________


 アサミの目が覚める。どうやらあれは夢だったらしい。その証拠に体は乾いているし、床には魔法陣がびっしりと描かれている。


 けど、あの塔の中ではないようだ。なにせ、周りにはあの女性ではなく、ローブを着たTHE魔法使いな人たちが、アサミの身体を取り囲んでいたのだから。


 そのうちの一人がアサミに近づき、顔をマジマジと見つめる。


 そのローブの中の顔は、これまたTHE魔法使いなおじいちゃんの顔で、眼の奥にどこか期待の光が見える。


「...勇者様でしょうか?」


「...はい」


 おじいちゃんの厳しい顔と、周りの雰囲気に気圧されて、本当なら..


「そう!私が神に選ばれし勇者だ!」


...と言ってみたいところを、はいの2文字で終わらせてしまった。段々とおじいちゃんの顔が赤くなる。そして立ち上がり、部屋一面にいるローブ達に告げた。


「皆の者!宴会の準備だ!」

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