男女二人向け、二人のダンス練習
登場人物
坂本 湊〈さかもと みなと〉 女性、高校二年生、ダンス部
坂口 大地〈さかぐち だいち〉 男性、高校二年生、帰宅部
二人は同じ組
(体育祭を控えた練習日、夏の終わり)
坂本湊「ほらまた遅れてるよ!」
坂口大地「そ、そう…言われても…創作ダンス難しすぎ…」
暑い日差しの中でダンス練習を繰り返したことで息が上がっている大地
湊「むー…ダンスしてれば段々体が勝手に動かない?」
大地「そんなの言われても、考えないと動けないのは人間として当然だろ…?」
湊「考えるより動く!パッションパッション!」
大地「パッションは意味が違うだろ…」
呆れる大地。大地が動けなくなっても湊はダンスを続けている
湊「坂口くん体力つけないとだねー」
大地「帰宅部に…はぁ…体力を…求めるな…はぁ…」
湊「むしろ帰宅部だからこそだよ!クラスで踊れてないの坂口くんだけなんだから、ほらパッションパッション!」
大地「それやめてくれ…」
大地は近くに置いてある水筒を手に取る
大地「水分…あっ、もう空だ。冷水器で追加してくるか…」
湊「ん?もうないなら私の水筒飲んでもいいよ?」
大地「えっ!?」
狼狽える大地。それを見て怪訝な湊
湊「喉は誰でも渇くからね!ほら、倒れる前に飲んで飲んで」
大地「ちょっ、そんなに水筒を近づけるな」
湊「喉が渇いてるんでしょー?ほらほら、お水飲んじゃって!」
逡巡する大地。湊は水筒の蓋を開けた
湊「ほら早く!練習しないといけないんだから!」
大地「え、いや、でも、それ」
湊「もう!早く水筒出してよ!注いであげるって言ってるんだから!」
大地「え?あ、ああ…そういうことか…」
水筒の中身を補充してもらう大地。そしてそこから水を飲んだ
大地「んく…んく…ふぅ…やっぱ冷たい水は美味しい」
湊「変な坂口くん。そんなに飲みたかったらさっさと水筒を渡してくれればよかったのに」
大地「え、あ、いや…それは、別にいいだろ」
湊「なんか顔赤くないー?熱中症じゃないよね?」
大地「違う!ああ、もう、ほら!教えてくれるんだろ!」
湊「もうー…急に大声出さなくてもいいじゃん。じゃあはい、初めからね」
end