男性一人向け、サラリーマンの電車
登場人物:男性、独身、サラリーマン(26)
通常かっこ「」が肉声で、二重かっこ『』が心の声です
(会社からの帰りの電車の中、満員の車内で立っている)
肉声「はぁ…〈ため息〉腹減った…」
心の声『ああ、疲れすぎて声に出てしまった。周囲に変な風に見られていなければいいけど』
周囲をこっそり見渡して誰にも見られていないことに安堵する
『まあ僕のことを見ている人なんていないよな。皆自分のことで精いっぱいだもんな』
『今日は帰る前にコンビニに行って夜ご飯を買わないと…ああでももうそれも面倒だな……何も食べずに寝てしまってもいいかな…』
自分の考え方にハッとする
『だめだだめだ!そんなことをしたら倒れてしまう!やっぱ疲れてるときは変な考えしか生まれないな…空腹は敵なんて…ははっ〈乾いた笑い〉、よく言えてるよ本当に』
電車が少し大きめに揺れて隣の人の肩にぶつかる
「おっと、失礼しました」
相手は謝ることもなく手元のスマホを見続けている
『よくスマホ触りながらこんな満員電車で立ってられるもんだ。ゲームか?まあ僕の言葉に気付かないっていうのもどうかとは思うけどさ』
『この電車に乗ってる人はみんな他人のことなんか気にしてない。それに僕だけが疲れてるわけじゃない。分かってる…分かってるんだ…』
ふとぶつかった相手のスマホの画面が視界に入る。それは連絡アプリだった。帰る旨のことを家族に伝えている様子だった
『ああ、この子は家族に連絡しているのか。僕には誰にも連絡する相手がいないからな…』
『家に帰ったら一人でご飯を食べて、寝て、そして起きる…一体僕は何をしてるんだろう…』
電車が次の降車駅を伝える。自分が降りる駅だ
『ああ、次で降りないとな。(皮肉気に)一人で、ね』
『寂しくなんかないけど…婚活、してみようかなぁ…』
end