2話目 人形を抱えて歩く
読者のみなさんはリアルの友だちいますか?
#脳みそ
登場人物:わたし、ゴーレム、友だち
脳レポート、飽きてきた。
みんなすぐ泡になって消えちゃうからつまんない。
ひとりぼっちはいやなのに、すぐ消えちゃうんだもの。泳いでも泳いでも変わり映えしないからだからちょっと飽きてきた。飽きてきたなあ。
小説とかも、表紙はかわいいけどさ、好きだけどさ、頭の中じゃなくて現実で読むし、人形の胴体があってなんになるの?動かないから寂しいよ。
桃色の海の中に胴体が沈んでるの、
とってもグロテスク。
で、どうするの?胴体を。
今のわたしはかわいいだけじゃ幸せにならなかった。 どうするの?×××にするの?
ネットで覚えた。男の人はこうやってオ×二ーするんだって。
いや。ち×こねえよ
ちん×可愛くねーよ!
そんなのいらないよ!
ああ、色々考えたらかわいくなくなっちゃった、
そうだ、胴体を抱き抱えて、
今日は足を使って歩こうかな。
今は人魚じゃなくていい。
退屈だから、歩いてるっていう実感が欲しい。
海の奥底の、あおいろの砂の上で。
とことこ
とことこ
深夜3時
この時間は泡が少ない。
眠たくて思考がにぶってるよ
この時間に起きてるなんて知られたら、きっとナースさんにまた怒られるな。まあいいけどさ。
泡はわたしに味方してくれない。
泡も魚も別にわたしの味方じゃないんだよね、
結局わたしには友だちなんて居ないもん。
泡を操ろうとしたこともあるけど、それも失敗した。まあ、脳みその泡を自由に操れるようになるのは本格的に脳に意識をどぶどぶ浸かってる証拠だし、そうするといよいよわたしがおかしくなっちゃうね。でも、おかしくなってもいいよ。とっくにわたしの身体は壊れているもの。
というか、頭が重くて、なんでかなぁって上を見てみると大きなゴーレムが(魚ですらない)わたしの頭をグリグリしていた。ドラ〇エのゴーレムみたいなのがわたしの頭をおもちゃにしている。
わたし:?
なんでゴーレムがいるんだろう。
ゴーレムなんて、創った覚えがない。
頭が重い子は嫌いだなあ。痛いのには慣れてるけど。
わたし:(やめてよ。やめて?)
頭の中で叫ぶけど、ここがのうみそなので、
叫びは頭ですらない、どこか遠くへ逃げていく。
くるしいくるしい
ああ、でも魚はまだ眠っている、だから別に、怖くないや。怖くないなら苦しくてもいいのかな。
よし、かわいいのでゴーレムも抱きしめちゃおうか。
わたし:あなたはしあわせ?
あ。
ゴーレムも、いつの間にか消えてしまった。
かなしい
幸せじゃなかったんだね。彼は
寂しさを埋めるために、ネットのお友達を呼んでみた。猫だ。正確には、友達のSNSに使われている猫のアイコンだった。ネット上での交流しかないけど、唯一と言っていい友達だ。リアルで会う気はないけど。ちなみに同性、オタク、筋肉フェチ。
名前は趙雲。三国志が好きらしい。
さっそく挨拶してみる。
わたし:こんばんわ、おはよう
挨拶は返ってこない。猫だから。
というより、わたしは猫の解像度が低いので、鳴き声すら分からない。だってネットとかでしか見た事がないから。なので声は出ない。
でも、それも逆に愛おしくて、かわいい。
きゅんきゅんしちゃうな。趙雲は自画像をTwitterに乗せているので見た目自体はわかるけど、見た目を猫にするだけで、友達がこんなに可愛く見えるから不思議だあ。喋らせておはなししようかなって思ったけど、ともだちの人格は別に可愛くないのでやめた。
趙雲、ごめんね。
趙雲といっしょに絵を描いたり、ダンスをして色々遊んだら、脳から覗くともう現実では5時になっていた。
そろそろ現実に戻ろうか、陸に上陸したら、
目を開けて現実に戻ろう。
そうしたら暗い天井が見えた。カーテンから光が差し込んで気持ち悪い。
もう寝よう。
わたし:おやすみなさい
おやすみなさい
わたしはいません