10 対局が終わらないんだけどさー
川-ω-)p『こないだときわを巻き込んで、部室で打ってみたんだけどさー。
ξ・з・)ξ『ほうほう、いいじゃない。
川-ω-)p『困ったことがひとつ。
ξ・з・)ξ『ん?
川-ω-)p『どこまで打てば終わりか、わからない。
ξ・з・)ξ『初心者あるあるね。
川-ω-)p『え、そうなの?
ξ・з・)ξ『ええ。囲碁は「ここで終わりですよ」ってのを自分で判断して、パス――「もう打ちません」って相手に伝えるんだけど、最初はそのタイミングがわかんないのよね。
川-ω-)p『将棋やチェスなら、王様とっちゃえばわかりやすく終わりなんだけどねー。
ξ・з・)ξ『一応投了すればそこで終わりだけど、そもそも投了の判断自体が、ある程度強くないとできないもんね。
川-ω-)p『点数計算のやりかたを教えてもらったでしょ。空き地を数えてどーこーってやつ。それはいいんだけど、そもそもそれ以前に、いつ点数計算に入るのかがわからない。
川-ω-)p『そりゃ難しいイメージもつくわ。
ξ・з・)ξ『個人的には、初心者投げ出しポイントその2だと思ってるわ。ちなみにその1は石の形ね。囲っても取れないとか、そのあたり。
川-ω-)p『蛍はどうやって判断してんの?
ξ・з・)ξ『もう打つところがないかどうか。
川-ω-)p『……どうやってそこを判断してるかを聞いてんだけど。
ξ・з・)ξ『たしかに本を読んだりしても、この辺の説明はわかりにくいのよね。聞くとやるのは大違いというか。
川-ω-)p『さっぱりわかりませんよ。
ξ・з・)ξ『じゃ、細かいところを一緒に見ていきましょうか。
川-ω-)p『ほい。
ξ・з・)ξ『参考譜を用意したわ。終盤、完全に勝負が終わる前の段階ね。ヨセっていうところよ。
川-ω-)p『そうそう、最後のほうはごちゃごちゃしてきて、なおさらわけわかんなくなるんだよね。
ξ・з・)ξ『あー、それもあるか。じゃ、4つのステップにわけて考えていきましょう。
①石のグループがいくつあるか数える。
②それぞれのグループについて、”生きているor死んでいる”を確定させる。
③白と黒の境界線を確定させる。
④整地。空き地の数を数える。
ξ・з・)ξ『まずは①ね。”石のグループ”って言い方で伝わるかしら? 繋がっている石は1つのグループとして考えるわ。
川-ω-)p『えーと、ようするに、どの石がつながっているか確認しましょうってこと?
ξ・з・)ξ『そうね。さっきの参考譜を見て、黒と白がそれぞれいくつのグループにわかれているか、判断つく?
川-ω-)p『えーと黒白、両方3つずつかな。と思わせておいて、黒は上と左の石がつながっているから2つだよ、という図だな。
ξ・з・)ξ『あら、先回りの説明ご苦労。答えは↓よ。正解ね。
ξ・з・)ξ『上と左の黒は、真ん中の細いところでつながってる。だから石のグループの数は、黒2つ、白3つ。じゃあ次は②、それぞれの石の生き死にを見ていきましょう。
川-ω-)p『こないだ言ってた、二眼とか生きる条件とか、そういうのだよね?
ξ・з・)ξ『確かにそれも重要だけど、よく勘違いされるのが「絶対に二眼を作らなきゃいけない」って思われることね。「ほっといても生きてる(死んでる)」って思うのなら、そのままで大丈夫よ。
川-ω-)p『その辺の見極めってどうするの?
ξ・з・)ξ『レアリー、あんた打ちながら、これ死にそうかなー、生きてるかなーとか考えてる?
川-ω-)p『そりゃまあ、一応自分なりに。
ξ・з・)ξ『それでいいわ。結局は打ってる自分が判断するしかないの。もし自分の石で不安なグループがあれば、早めに守っておきなさい。
ξ・з・)ξ『少し脱線したわね。じゃあ、それぞれの石が”完全に”生きているかを確認していくわよ。とりあえず黒から行きましょうか。
川-ω-)p『んー、黒はAもBも大丈夫だと思う。広いし、ちゃんとつながってるし。
ξ・з・)ξ『おk、じゃ次は白ね。どう?
川-ω-)p『ABはたぶん生きてる。でも、Cは……、こいつ2眼ないよね?
ξ・з・)ξ『ほう。でも、対戦相手は生きていると思っているかもしれないわよ。
川-ω-)p『え? どうやって確認するの? 強い人に聞くとか?
ξ・з・)ξ『言葉はいらないわ。死ぬだろーと思ったのなら、殺しにいく。殴っても死なないなら、生きてるわ。
川-ω-)p『乱暴。
ξ・з・)ξ『二眼ある石は絶対死なないって話、覚えてるわよね。
川-ω-)p『うん。
ξ・з・)ξ『絶対死なないなら、殴っても文句ないわよね。
川-ω-)p『うん。……うん?
ξ・з・)ξ『碁は殺し合いのゲームだからね。
川-ω-)p『え、陣取り……
ξ・з・)ξ『ころしあい、よ。
ξ・з・)ξ『まあとりあえず、やってみましょうか。あんたが黒として、この白Cを殺してみなさい。
川-ω-)p『じゃーとりあえずこうしてみる。
ξ・з・)ξ『ふむ、じゃ白もこう守るわ。
川-ω-)p『あ、二眼できて生きられちゃった。
ξ・з・)ξ『残念ね。うまくやれば死んでたわ。
川-ω-)p『まじで? 損した。
ξ・з・)ξ『実はこれ、少し強くなれば、このまま放置しとく部分ね。
川-ω-)p『……は?
ξ・з・)ξ『第2話で、”死んでるけど盤に残ったままの石”ってのをやったのは覚えているかしら。
川-ω-)p『覚えてるよ。ゾンビの話をしたやつだな。
ξ・з・)ξ『これがまさにそれね、普通ならこの部分は、そのまま死んだ扱いよ。
川-ω-)p『じゃ完全にやぶへびじゃん!
ξ・з・)ξ『最初はそんなもんよ。仕方ないでしょ、わからなかったんだから。
川-ω-)p『むー。じゃ、放置するのと殺しに行くのの違いは?
ξ・з・)ξ『相手が――今回の場合、白ね。白が先に守ってきてもきっちり殺しきれるなら、死んでるわ。放置でOK
川-ω-)p『ふむ。
ξ・з・)ξ『逆に生きる場合は、相手から先に打たれても対応して二眼作れるなら、生きてるわ。これも放置でOK。
川-ω-)p『で、よくわかんない場合はー、
ξ・з・)ξ『とりあえず殴る、ね。
川-ω-)p『さて、これで生き死に確定?
ξ・з・)ξ『あんたがそうだと思うなら、それで確定よ。
川-ω-)p『じゃ、確定。次は③境界線だっけ?
ξ・з・)ξ『そうね。生き死にを考えてるときにある程度決まっていくけど、慣れないと見落とすかもね。
ξ・з・)ξ『もう少し打ち進めた図を用意してみたわ。例えばこれで、境界線はすべて決まっていると思う?
川-ω-)p『うーん、だいたい決まっているように見えるけどー。
ξ・з・)ξ『じゃ、例えばここは? 隙間空いてるけどどう?
川-ω-)p『え? ああ、えーと、なんとなくここが2目ずつくらいじゃないかな
ξ・з・)ξ『なんとなくじゃだめでしょ
川-ω-)p『うう……、たしかに。
ξ・з・)ξ『こういうところが残っているうちは、終わりじゃないわ。慣れてないうちは見落とさないよう、確認する癖をつけなさい。
川-ω-)p『どうすればいいい?
ξ・з・)ξ『んー、そうね。さかいめの線を、目でたどっていくのはどうかしら」
川-ω-)p『あ、ちょっと待ってくれ蛍。この隙間の部分は? 境界線が決まってないぞ。
ξ・з・)ξ『そこは”駄目”って言われる部分ね。白黒、どちらのマスでもないわ。
川-ω-)p『さっきの境界線との違いは?
ξ・з・)ξ『んーと、打ってもマス目を囲めるほどのスペースが無いなら、ダメね。
川-ω-)p『このままにしといていいの?
ξ・з・)ξ『ネット碁なら、放置でいいわね。点数計算を自動でしてくれるし。
川-ω-)p『じゃ、リアルで打つときは?
ξ・з・)ξ『全部埋めていくわね。残しておくと整地するときにジャマなのよ。ああ、埋めるときはお互いに交互に、ケンカしないようにね。
川-ω-)p『じゃほいほいっと。これでいいかな
ξ・з・)ξ『そうね、ここで完全に終わりよ。パスしなさい。
川-ω-)p『パスって言えばいいの?
ξ・з・)ξ『ええ、それでいいわ。勘違いとか見落としとかもあるから、ちゃんと伝えること。「見ればわかる」って考えは良くないわ。ネットの場合はパスボタンね。
川-ω-)p『ぽちっとな。
ξ・з・)ξ『自分と相手、二人ともパスすれば、そこで終局よ。ただ、自分がパスしたからって、相手もパスするとは限らないわ。
川-ω-)p『その場合どうするの? 相手が2手連打することにならない?
ξ・з・)ξ『なるけど、大丈夫。一度パスした後に相手が打ってきた場合は、こっちももう一度打てるから。ちゃんと対応するタイミングはあるわよ。
川-ω-)p『そのへんがわかりづらいんだよねー。
ξ・з・)ξ『んーそうね。言葉で伝えるなら、「私はもう確認終わりました。あなたは気になるところありますか?」って感じかなあ。
川-ω-)p『で、もし気になるところがあるときは、「ボクは死んでると思うから、殴ってみるよ」ってなるの?
ξ・з・)ξ『そういうこと。じゃ、次回は整地ね。
川-ω-)p『はーい。




