独占欲
彼女が出来た。
これで三人目。
俺は何時も誰よりも彼女を愛するのに、彼女の周りの男によって引き裂かれた。
一人目の時は、彼女の父親から殴られ。
二人目の時は、彼女の兄から殴られ。
三人目の時は、彼女の弟に殴られた。
だが、今回は大丈夫だ。
彼女に男家族は居ない。それどころか、女家族も居ない。
付き合って一ヶ月。
「何であいつと話をするんだよ!」
「ごめんなさい。もうしないから」
男友達や知人と話をする彼女に、家に帰ってから掴みかかって怒鳴ると、彼女は後悔の涙を浮かべて謝罪する。
俺がどれだけ彼女を愛しているのか、何時になったら理解するのだろう?
更に一ヶ月。
「だから、話すなって言ったよな!?」
俺は、男の店員に話しかけた彼女を、家に帰ってから責め立てる。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
謝る彼女を見て、閉じ込めた方が良いと思った。
そうすれば、俺以外を見る事は無い。
「ミサキ。本当に悪いと思ってる?」
「ええ」
「じゃあ、会社辞めて」
「……え?」
「悪いと思っているって言うのは、嘘なのか?!」
躊躇う彼女に、まだ俺以外の男と仲良くしたいのかと腹を立てて殴った。
「……ごめんなさい。言う通りにするから……」
それからの一ヶ月は幸せだった。
これほど心安らぐのは、恋人が出来て初めての事である。
これからも、こんな日々が続くと思っていた。
二人が付き合ってから三ヶ月後。
「聞いた? ミサキの彼、また死んだって」
「また? これで四人目だっけ?」
「そう。何時も怪死するのよね。気味が悪い……」
ミサキの友人達が離れた所から彼女を見て、そんな会話をしていた。