哀れなライオン
むかし、研修でならったある手遊び歌を聴いて妄想が膨らんだお話です。
オレは森をかけていた。
いつものように、草陰で怯えている獲物を探しながら。
獣の王と呼ばれるライオンであるこのオレからは、どんな獲物も逃げられるはずがない。
昨日は鈍臭い鹿を仕留めた。今日はどんな間抜けを仕留めてやろうか。
そう思っていたのに、なぜだか知らないうちにオレは見慣れない光景に混乱していた。
少し前まで走っていた大地がはるか下方に見えたのだから。
リスが驚いて、持っていた木の実を落とし、慌てて巣の中に隠れるのが見えた。
いったい何が起こったのだろう?
ーーーーーー
私は目の前の光景に驚いていました。
何故なら、昨日の昼に仕掛けたウサギ用の罠にライオンがかかっていたのですから。
「この罠を仕掛けたのはお前か、人間!」
網にとらわれ、木の上に釣り上げられている間抜けなライオンがジタバタと暴れて叫んでいます。
人の言葉を話すライオン…そういえば魔法使いのオババが飼っていたという噂を聞いたことがあります。
どうしたらいいのかわかりませんでしたが、とりあえず私はライオンの質問に答えることにしました。
「そうですよ。私がかけた罠です」
「俺を捕まえてどうする気だ!」
「どうって…あなたを捕まえても、私にはなんの得にもならないのですが」
元々ウサギを捕まえようとおもっていたのですから。
毛皮を剥いで族長への贈り物くらいにはなるのでしょうが、そんな面倒で危険なことをしたくはありません。
「だったらオレを降ろせよ!」
「嫌ですよ。だってきっとあなたは私を食い殺す気でしょう?」
「くわねぇよ!くわねぇから早く下ろせ!」
「絶対ですよ?約束ですからね!」
このまま吊り上げておくわけにもいかないので、私は網を吊り上げていた縄を切断しました。
網から出したライオンをよく見れば、体はそれなりに大きいものの、まだたてがみがちょろちょろの仔ライオンでした。
たてがみが生え始めた仔ライオンですが、イメージ的には成体に近い体型てす。




