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閑話休題。マーガレットさんは名前を改めました。

 マーガレットは、あの記者会見の後に姿を消した紫野むらさきのを探す。

 実は、標野しめのはヘビースモーカーだが、紫野は元々気管支が弱く、喘息持ちの為吸っていない。

 そして、


『あー、緊張したわ……あぁ、菓子つくりた』


 ぶつぶつと壁にもたれて空を見ていた。


「菓子?」

「あぁ、マーガレット。俺は菓子職人の家でな……跡取り。でも、双子の弟は器用で、その上8才下の弟も見よう見まねでも作れるものが作れない不器用なんだ。で、一日でも怠ったらって怖くて、どうしようかなぁって。早く帰って仕事に……」

「どんなもの作る?菓子?」

「あ、あぁ……そうだなぁ……」


 言いながら屋敷に戻り、モルガーナに頼み、台所を借りる。


「ここには、小麦粉しかないし……でも、洋菓子もある程度できるか……」


ハーブを庭で探して、ハーブティとそれにあうクッキーと、芋を蒸して砂糖を足し網で裏ごしし、練った小麦粉でつつみ、これも蒸す。

 他に、蒸しパンを作り、


「こんなもんかな……」

「わぁぁ‼凄い‼」


目を輝かせるマーガレットに、ふと、思い付いたようにスマホをとりだし、写真を見せる。


「これが、日本の和菓子。これは春のお菓子。これは、ほら、お魚が泳いどる。これは、夏のお菓子」

「わぁぁ‼お菓子?食べるのに?こんなに綺麗?」

「日本では、見て楽しむ、食べて楽しむ……それが普通」

「こんなに綺麗なんて‼見てみたい‼食べてみたい‼」


 ピョンピョン跳び跳ねるマーガレットに、


「ここでは材料に道具も足りないから、無理……」

「じゃぁ、日本行きたい‼作って‼む、紫野‼お菓子‼」

「さきでいいよ。読みにくい名前だから」

「読みにくい……嫌い?」

「いや、珍しい名前だから……」


首をすくめる。


「双子なんよ。俺は。で、母が日本の歌で『あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る』って言う歌から取ったんだ」

「『あかねしゃしゅ……』」

「えーと、茜色……『夕焼けの紫草の野や御料地ごりょうち……高貴な人しか入れない場所を歩いているけれど、番人は見ていないと良いけれど……貴方が袖を振っている姿が』って言う感じかな。この、袖を振ると言うのは、昔の求婚のような意味があるんだ。女性の歌だよ、額田王ぬかたのおおきみと言う、高貴な女性の歌でね。で、双子の弟は標野って名前。8才下の弟が醍醐だいご

「だいご?」

「あぁ、こっちは、醍醐寺と言うお寺……があって、そこで昔の人が花見をしたんだ。母の名前が櫻子さくらこって言って、日本のお花見と言えば桜の花で、父が、弟に醍醐ってね。父は嵐山らんざん。京都には嵐山あらしやまっていう地域があって、そこから取ったんだ」

「綺麗な名前‼夏樹なつきは?なあい?」

「んー……ないなぁ……日本の名字の清水しみずはあるよ?お寺で清水寺」


 うんうん考え、


「夏樹じゃなくて……別の……がいい‼マーガレット違う‼さき、一緒‼」

「は?」

「夏樹……よりも一緒がいい‼マーガレット……日本のお花‼さきのお母さんと一緒‼桜、マーガレット……何?」

「菊……菊子は古い……雛菊ひなぎくか?」

「ヒナギク?じゃぁ、マーガレット、雛菊‼お名前、雛菊‼」




マーガレットは、日本名を改めたのだった。

 そして、絶対に紫野にくっついて京都に行って、和菓子を食べる野望にも燃えていたのだった。

あかねさす 紫野むらさきの行き 標野しめの行き 野守のもりは見ずや 君が袖振る


は、額田王ぬかたのおおきみの作品で、返歌は天武天皇(大海人皇子)のものです。

元々。額田王は、天武天皇の恋人の一人で娘がいましたが、この時には。天智天皇のお妃で、一種の戯れ歌です。


あかねさすが野守にかけられていて、掛詞のある美しい歌です。

袖を振るは、求愛、求婚を意味します。


当時は、恋愛はおおらかで、適齢期になると、若者たちが集まって歌を歌って告白合戦や踊ったりしていたそうです。

確か歌垣うたがきと言った筈です。

この詳しい内容は、勉強しましょう(*^_^*)


本当は。あかねちゃんも良かったのですが、ゲーマーがばれるので諦めました。

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