閑話休題、モルガーナは、穐斗との話を説明しました。
部屋を出ると、居間に向かう。
姉妹たちのほとんどは、紅とヴィヴィアンが対処をしてくれており、休んでいた。
それに、ガラハッドの姪の夫婦や、庭師の家族も手分けして手伝ってくれている。
「お疲れ様、モーリィ」
夫の言葉に、モルガーナは抱きつき、
「ごめんなさい……貴方……父が、父が、何てことを……」
「わしよりも、モーリィ。モーリィの姉妹がこれからどうなるかだと思うが?」
「あの……」
一人、座っていたマーガレットが、
「私、日本の名前があると聞いています。日本に行っても良いでしょうか?」
「やめた方がいいわ‼マーガレット‼貴方のChangelingだった妖精は……」
「でも、ここにいるのが………辛いの。姉さん」
目を伏せる。
MEGは明るいブルーだった瞳はアイスブルーで、天然パーマではなく、ヴィヴィアンとそっくりのプラチナブロンド……。
「バッシングにも遭うのは解ってるの。言われたの。でも……紅が言った、桜が見たいの」
「で、一応ちょっと、電話で相談したんです」
日向が声をかける。
「そうしたら、さきさん……風遊さんの婚約者の兄になる紫野さんが来るって。様子が向こうでは解らないからと」
「あ、あの、穐斗は‼」
こちらも少々汚れていた祐也は、庭師の家のシャワーを借りて着替えをしていた。
「それが……」
説明する。
「なっ‼」
言葉を失う。
「でも、穐斗は‼」
「Changelingで連れ去られた……穐斗だが、出国手続きも入国審査もなしで、入るのは罪だ。父親に誘拐されてつれていかれたのは事実。それに、勝手に出国して入国、帰国にも手続きがいる。被害者だが裁判等も大変だぞ」
「じゃぁ、穐斗は‼いるじゃないですか‼」
訴える祐也に、横で、スッパーンと脳天から手刀が叩き込まれる。
頭を押さえうめく祐也。
『うるさいで、祐也。一応ウェインの通訳で大体分かったけど、じゃぁ、穐斗は連れ去られて、おらんなった。本当は双子やって、Changeling?それで連れていかれとった妹だけが戻ったって言うたらよかろ?』
『双子の妹‼』
『戸籍は当然ないし、実の親父が作ってない。他の人らもや。一緒に作って貰て、一応こっちの人やてしたらエエんと違うんか?双子や言うたら、かまんかまん』
『さすがは、先輩』
誉めているのか、あきれているのか、日向の声に、
『それに、穐斗がしたいいよるのに、とめたらいけん。それに他に面倒臭い裁判して、モルガーナさんや、穐斗やその姉ちゃんらを悲しませるんはもっといけん‼これ以上、悲しい思いさせてどうするんで‼』
言い切った一平の言葉をウェインの通訳で聞いたガラハッドは、一平に手を伸ばすと握手をする。
「ありがとう‼君の意見にわしも同じだよ‼」
『やろ?そういってくれると思ったわ』
片言どころか、英語と日本語で通じあう筋肉族である。
「じゃぁ……穐斗は……」
「穐斗の名前はなしにして、セカンドネームは一緒のアンジュ。日本名を別につけたら?」
頬に殴られたあとがあるウェインを、母のモルガーナは、
「ウェイン?その頬は……」
「あ、うん。後で……それよりも、名前は?どうする?」
「……蛍……で、どうですか?」
祐也の言葉に皆は頷いたのだった。




