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第84話、とても幼い恋と言う苗が愛と言う花を咲かせました。

 先にトラックに逃げ込んだ祐也ゆうやは、荷台に穐斗あきとを乗せ、自分も乗り込む。

 そこには先程の毛布があり、穐斗を包もうとするが、


「……だっこ」

「後で。ほら、毛布」


 問答無用で包む。

と言うよりも、祐也はかなり動揺していた。

 一応、妹のくれないひめが、初潮を迎えたと言う時は、母のせとかが、


「お赤飯よ~‼」


と声をあげ、


「ぎゃぁぁ‼言わないで‼恥ずかしい‼」

「お母さん‼何でお兄ちゃんたちに言うのよ⁉」


と、それぞれ叫んでいたのだが、どう考えても……、


「女の子になった?」

「分かんない……でも、お腹痛い……」


男性には解らないだろうが、女性の体は繊細であり、痛みにも違いがある。

 軽くすむ人もいれば、軽い時と重い時が交互に来る人、重く歩くのも辛いと言う人や倒れる人もいる。


「う~ん。俺にはそれが解らないから……紅が戻ったら聞いてみよう」

「あ‼小さいブロンズ姫‼いなくなったんだよ‼ほら、祐也が‼」

「あ、あの小さいのは、ウェインの領地の屋敷にいるよ。小さい古いマグカップに」

「そ、そうなんだ‼良かった……」


 穐斗は安心する。

 そして、祐也が座り込んだ場所の横に座る。


「えへへ……良かった。祐也に会えて……?どうしたの?」


コテン、首を傾げ上目遣いをする。


「い、いや……女の子なんだなぁと、触ったら折れそう……」

「さっきも担いでたし……変わらないと思うよ?」

「そ、それは、焦ってたからで‼知らなかったんだ‼」


 必死に訴える祐也に、穐斗はまばたきをする。


「祐也?僕は僕だよ?性別が換わっただけで、嫌い?」

「ち、違うぅぅ‼そんなんじゃない‼嫌いじゃない‼だ、だから動揺してる」

「動揺?んーと、触りたくない?」

「そんな訳あるか‼でも、前みたいに骨折とか嫌だ‼」


あぁ……


思い出す。


「そう言えば、ギプスないねぇ?」

「お前が入院中に取ったって。それに、お前がしばらく眠ってる間に風遊ふゆ母さんと醍醐だいご先輩、正式に結納交わしたって」

「えぇぇ‼一緒にしたかったよぉぉ」

「写真とったりしてたから我慢しろ。それとスゥ先輩に赤ちゃんが出来たんだって。来年初夏になる前に生まれるって。この後、ひな先輩帰ってきたら」

「わぁぁ~‼いいないいなぁ~‼お母さんとお父さんにも……弟欲しいなぁ‼」


 女性になる前と、全く変わらない穐斗にため息をつく。


「ん?なぁに?祐也」

「いや。お前はお前だなと思ったんだ。何か気が抜けた」

「どー言うこと?」


 ぷぅっと頬を膨らませる穐斗に、笑う。


「今はまだ、あれやこれやで忙しいし、日本でもここでも色々ある。それに、お前がちゃんと病院で検査とか色々して……その前に、日本にいる筈のお前がどうやって戻るかとかあるけどな……」

「色々あるねぇ……」

「その中にも、風遊さんの結婚式と、その前にはスゥ先輩が出産。俺も先輩たちも引っ越しとかあるんだけどな」

「僕も引っ越し……」

「もうすんでるんじゃないのか?」


 祐也は頭を撫でる。


「むむっ?祐也、僕を子供扱いしてる?」

「いや。一応確認。それと……お前が戸籍上でも女の子だと認められたら、俺と結婚して欲しいんだ」

「……えっ?嘘……」

「嘘じゃない。ちゃんと結納に、恋人として、婚約者としてデートもしたい。それに、結婚式をしてウェディングドレスやカクテルドレス、一杯着て、ずっと笑っていてほしい。泣く時は俺の腕の中だけ。駄目か?」


 穐斗の大きな瞳が潤み、手を伸ばし抱きつく。


「う、うん‼僕……私も一緒にいたい、です‼」

「……ありがとう……」




 長い長い道の末に、たどり着いたのは、共にいようと言う約束だった。

一応プロポーズです。

多分、キスとかは、将来の義父が怖いので、控えていると思われます。

と言うか……祐也らしいなぁと思います。

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