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第81話、穐斗は白無垢と言う鎧で身動きがとれません。

 その頃、穐斗あきとは、かんしゃくを起こしていた。


「馬鹿~‼僕のブロンズ姫帰せ‼一番小さい子で、何するんだ~馬鹿~‼」

「あんなのが着いてきていたとは……迂闊うかつでしたわ……」


 椿はせっせと打ち掛けを着せかけていく。


「何するんだ~馬鹿~‼」

「着替えですわ。もう少ししましたら、お式ですわ。普通はドレスですけれど、私たちの東の世界の御方おんかたから存分にと」

「何が存分にだよ‼身動きできないようにしてる癖に‼馬鹿~‼」

艶蕗つわぶき?どうしたの?」

「いえ……」


 黄色の着物の童顔の少女が首を振ると、扉が開き、


「あーら、アンジュちゃんじゃないの。お洋服でましになった?」


漆黒の、胸が強調され、ついでにスリットが大胆に開かれたドレスを着ている姉を残念そうに見る。


「お姉ちゃん……テレビではギュウギュウに矯正下着着てたでしょ?それに、肌が日焼けで真っ黒で、元々胸もないし、足も太い、すっとん体型なのに、そんなドレス着ないでくれない?しかも、胸の詰めまくったパット、落ちてるよ」

「ギャァァ‼何よ‼あんたなんかに何が分かるのよ~‼本当はあたしが、花嫁だったんだから‼」

「じゃぁ変わってよ。僕、花嫁したくないもん‼」

「父さんの命令なのよ‼しかもムカつく‼あの王子、あんたの寝顔に一目惚れですってよ」


 その言葉にゾワゾワっとする。


「き、気持ち悪っ‼寝顔って、どこで見たの‼ウワァァァ鳥肌、ぶわわわって」

「ムカつくわぁぁ‼何なのよ‼何であんたなのよ~‼」

「マーガレット様。準備がありますので」

「そのパットよりも、矯正下着を用意して頂いては?確かコルセットとか……あぁ、くじらを取りに行かないと行けませんわね」

「あら、椿。ダメよ。鯨は捕ってはいけないって、今大騒動なのよ」


 艶蕗は口を挟む。


「じゃぁ、特製の矯正下着は無理と言うことでしょう?何を着られるのかしら?」

「その顔では着物も無理ですし、普段のヘソだし短パンスニーカーでいかがです?奇抜でいいと思いますわぁ」

「そうですわぁ」

「何ですって⁉たかが花の妖精フェアリー風情が‼」


 いきり立つMEGメグに、椿も、


「それを言うなら、貴方こそ、マーガレットの花の妖精フェアリーではないの。魔法で大きくしてもらっているだけの‼しかも私は樹木。格が違いますわ」

「私は‼」

「どいてちょうだい。西の妖精風情が、東の姫様に軽々しく口を挟まないで‼」


艶蕗に出ていけと扉を示される。

と、扉が開き、


「オォ、アンジュ。pretty、beautiful‼」

「キモッ‼死ね‼僕のお父さんは、醍醐だいご先輩‼オッサン出てけ‼」


顔を背ける。

と、穐斗の顎をつかみ、にっと微笑む。


「安心するがいい。ここでお前が大人しく、王子と結婚しなければ、お前の大事な者を……殺していこう。まずは、あの、ユウヤ・アベから行こうか?」

「なっ?」

「血祭りにあげる方法など幾つでもある……お前の式のテーブルの上には、一体幾つの死体を並べようか?もう二つは仕上がっているがな?」


 クククッ……


笑う実父を見上げ叫ぶ。


「死体……何考えてんだ‼おじいちゃんやお祖母ちゃんは⁉もしかして‼」

「さてな……次は、誰を殺そうか?殺し方を言ってくれるか?天使アンジュ……」

「止めろ‼何を‼それに、子供が親を殺すなんて‼」

「おやおや……父の言うことを聞かないワガママ天使アンジュが……殺して欲しくないなら、言うことを聞くんだよ?このまま結婚し……風遊ふゆを呼ぶんだ。あれは私のもの……」


 顎を振りほどく。


「母さんは、醍醐先輩と結婚するんだ‼命令なんて聞くもんか‼」

「……フンッ!」


 手を振り上げ、穐斗を殴ろうとした手を、掴む腕。


「おい、アーサー卿。バカはいい加減に止めろと言っただろう」


シャベルを担いだガラハッドと……、その横から出てきたのは、長身でバランスのとれた体躯に、とろくさい穐斗を守って庇って、いつもいてくれる存在……穐斗は呼び掛ける。


祐也ゆうや‼」

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