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第8話、祐也は、穐斗の国籍を知りました。

 洗濯物を干している間に着替えをしておけと、干しに行った祐也ゆうやだが、一応綺麗に並んだ穐斗あきとの愛する多肉植物の横を通る時に、


「ごめんな。わざとじゃないけど、穐斗、怪我させちまった。もう二度としないから許してくれ」


と声をかける。

 初めてこの部屋に来て、穐斗がニコニコとうっとりとした顔で、多肉植物たちに声をかけている時は引いたが、良く観察すると、小さい多肉植物の鉢は自分には似合わないが、穐斗が可愛がるには十分で、最近は、


「えへへ、黄麗さんの子供が根っこ生えた~‼」


と聞くと、


「それはいいな。新しい鉢を選ばなきゃな」


 と言う会話が成り立つようになった。

 洗濯機の中の洗濯物を干すと、戻り、


「おい、出来たか?」

「うぅぅ~。又姉さん、どうしてこう言う格好ばっかり……」


出して着込んでいるのは、どう見ても、祐也の妹たちの好んで選ぶブランド……全体は白のトレーナーだが、下にデニムのフリルがついており、袖もデニムの袖つきの……その上襟ぐりには、同じくデニム地の襟にボタン……。

 最近流行りの服である。


と言うよりも、違和感なく着こなせる穐斗に脱帽である。


「何で、フリルとかレースとか……このスパンコールもやめて欲しいよね……。これが一番ましだったけど……うぅぅ……」

「ましなら、それで行け。もっとフリフリとか、似合いすぎたら、俺、友人やめたくなる……」

「エェェ‼それは困るよ~。折角祐也と友達になれたのに。僕、この性格のせいか、良くいじめられてたんだよね。ハーフだし」

「はぁぁ?それ聞いてないぞ‼」

「あ、そうだっけ?僕、お母さんは日本人だけど、お父さんがイングランドの人なの。本名は……長すぎて覚えてないんだ……本名は、穐斗・アンジュ」


 祐也はめまいがする。

 何で、男にアンジュ……無学の自分ではあるが、アンジュはエンジェルのことである。

 エンジェル……天使は男性の姿が多いが、本来無性であり、ごく稀に戦闘体制を採る時、筋肉量が多く戦いに特化した男性の姿をとる。

 女性のエンジェルとして有名なのは、聖母マリアの処女受胎を告知に行ったガブリエール……ガブリエルがそうであり、有名なミカエル、ラファエルなどは男性の姿をとる。


「な、何で、アンジュ……」

「ん~と、父さんの家、男の子が生まれにくい、成長しにくい家らしくて、この子が成長するようにって祈るんだって。で、女の子の名前を選ぶんだって言ってた。まぁ、父さんのお父さんはアンブロシアって名前がついてたって言ってた」

「あ、アンブロシア……それも又……」


 オッサン……いや、穐斗のじいさんがアンブロシア……それも怖い。


「ま、まぁ、行くか、穐斗」

「うー、この服がね……」

「我慢しろ。乾いたら着れる」


 無理にではないが引っ張りながら、この格好の穐斗を見たクラスメイトの反応が面白そうだと思ったりする祐也だった。

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