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第60話、祐也は動けないので、紅とウェインが初デートです。

 頭を打っている為、様子見と言うことで数日入院となった祐也ゆうやだが、


「これだけでも……行かせてくれ‼穐斗あきとに買ってあげたいんだ‼」


と頼み込む。

 が、あっさりと、ウェインに、


「ダメダメ。パパラッチに追い回されるよ」

「ち、チーキーを……贈りたかったのに……」


半泣き……ちなみに頭の痛みもあり、すぐに点滴となる。

 薬でうとうととする祐也を、本邸から来て貰ったメイドに頼み、


「仕方ないから、行ってこようかな。ヴィヴィアンも行く?」

「えぇ‼喜んで。くれないも行きましょう」

『えっ?どこに?』

『いたずらっ子に会いに行こう。3人で』


と、3人は服装を改め、病院を出て3人で手を繋ぐ。

 ちなみに真ん中は紅で、


『あれ?ウェインさんとヴィヴィアン、恋人同士じゃなかったの?』


その言葉に驚き、ウェインは、


『と、とんでもない‼ヴィヴィは友人だよ‼子役時代から‼家族ぐるみ‼』

「何をいっているの?」

「いや、紅が、ヴィヴィと僕が恋人同士だって……違うよって」

「そうなのよ。無理だわ~。ウェインは友人以上になれないもの。ヘタレだから。今回だって……」

「ちょ、ちょっと‼ヴィヴィ~‼お願いします‼お願いだから‼」


頭の上で英語が飛び交い、紅はむっとし、ヴィヴィアンに抱きつく。


『ムー!私だってもっと英語勉強して、ヴィヴィって呼ぶんだもん‼ウェインさんに負けない‼』

「ヴィヴィの意地悪‼」

「高潔の騎士ランスロットが、初恋相手に振り回されるって見てて楽しいわ‼」


 紅がヴィヴィアンにしがみつき、離れてくれない様子を、情けない顔で見る。


『ね、ねぇ、紅ちゃんは、僕のこと嫌い?』

「嫌い違うよ。でも、ゆうにいちゃんNo.1‼あきちゃんNo.2‼」


 単語の羅列だが、ヴィヴィアンにもしっかりと、ブラコンぶりが理解できる。


「ヴィヴィNo.3‼その次、どう?」

「どうって……ヴィヴィ~‼」

「あははは‼紅は、クール‼」


 笑い声をあげつつ、あるお店にはいる。


『へ、変な子~‼こっちは普通のテディベア‼』

『メリーソート社のテディベアのお店だよ』


 ウェインは紅の手を引き、ヴィヴィアンに貰ったパディントンベアと、見比べているのを見る。


『さっき「いたずらっ子」に会うって言っただろう?チーキーって言うんだよ。ほら、見てご覧。口が「いたずらしちゃったぞ。エッヘン」みたいにニヤリって笑ってるように見えない?』

『あー見える~‼』

『それにね?大きな耳には鈴』


 持って上下に動かすとチリチリと鳴った。


『この鈴がなると、幸運を招くって言われているんだ。だから祐也は、穐斗にあげたいって思ってるんじゃないかな?』

『へぇー……ん?この子は違う?』

『パンキーチーキーだね。頭がツンツンでしょ?それにパンツをはいてるから、パンツチーキー』


 その名前に笑う。

 ヴィヴィアンは他のテディベアを見ているふりで、幼馴染みを見る。

 別のチーキーを見て、楽しそうに笑いながら自分を見る紅に、嬉しそうに微笑み返す……その姿に。


「鈍いと思っていたけど19で初恋ねぇ……ウェインらしいわ」


 クスッと笑った。


 じっくりとチーキーを見て……奥にいる大きなチーキーに気がつく。

 クリーム色で、しかもウサギの耳つきの帽子をかぶっている‼


『か、可愛い~‼ウサギ‼ウサギ‼ねぇねぇ‼あれ、あきちゃん似てる‼』

『穐斗に?』

『うん‼子犬か、ウサギ‼可愛い~‼あれは?』

『うーん。そうだね。じゃぁ、あれは穐斗に。で、こっち』


 穐斗用の大きなチーキーとは別に手渡す。


『君用の。パンキーチーキーウサギ。プレゼント』

『エェェェ‼いいの?だって、ほら、パディントンベアいるのに‼』

『サインいる?』

『わぁぁ。じゃぁ、この子、ウェインにするね‼ありがとう‼大事にする~‼』


 ぎゅっと抱き締め満面の笑みを、はにかむように見ている姿を、ヴィヴィアンは少し羨ましく思ったのだった。

一応、イングランドにはいくつものテディベアメーカーがありますが、日本で知られているのは、AfternoonTeaとコラボのミニミニチーキーです。右足の裏にタグが縫い付けられています。

チーキーはメリーソート社のテディベアで、限定数の少ない……100体前後のベアが多いです。


そして紅茶で知られているハロッズは毎年その年のテディベアを発売していますが、手足の動かないぬいぐるみです。

でも、ハロッズのバッグのテディベアは可愛くてお気に入りです。


ちなみに、日本では紅茶専門店ですが、イングランドでは百貨店です。

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