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第52話、ロンドンへは、高級車で移動になります。

 翌日、祐也は普段着だったのだが、一応、昨日読み始めていた本……先祖の日記らしく、日々の生活や当時の風習など、そして過去にあった噂なども記載されていて、気になった部分に、書き込みをしたメモを差し込み、それをバッグに入れていた。

 普段着だったのだが、居間に向かうと、ウェインは洗練された格好をしていた。


「ロンドンには、何かあるのかい?」

「あぁ、今日は、一応ご挨拶回りだね。先輩俳優の方々や、それなりの方々とのご挨拶。先輩や友人との会話は楽しいんだけど、パパラッチが紛れ込んでいるのが嫌だね」

「え、じゃぁ、俺はやめておいた方がいいかな?」

「いや、良いよ。穐斗あきとに贈り物だって?それに、確か妹さんとかいるんじゃないのかな?一緒に探そう。それに風遊さんにも。それに、メリーソートの関係者の方も来ているかもしれない。頼んでみるのもいいと思うけど?」

「でも、この格好じゃ失礼だよ」


 祐也は普通のラフな格好である。

 上下をみて、スマホをとると、電話を掛ける。


「申し訳ないんだけど、到着したら、服を数着。黒髪茶色の瞳、日本人の同じ年の親友なんだ。身長は、180越えていて、僕の弟よりも体型は引き締まってる。うん、うん……よろしく」


 スマホを切り、


「ロンドンの家に、連絡しておいたよ。じゃぁ行こうか」





 今回は自分で運転ではなく、運転手に運転を頼む。

 後部座席の背もたれに持たれるのかと思いきや、姿勢良く座っている。


「もたれないの?」

「父と母の教育方針と言うか、シートにもたれてみる景色は歪んで見える。自分が偉いと思い上がることになる。逆にまっすぐに見ることで、自分の分をわきまえる人間になる……持たれたらダメ、とかじゃなく。領地をみられるだろう?そうすれば、自分がこの地に住んでいる人に、何をすべきか考えられると思うんだ。だから領地を出るまでは、この姿勢が多いかな」

「それは、しっかりしてるねと言うよりも、ご両親もちゃんとされているのと一緒で、ウェインも一緒……あっ、ちょっとごめん……はぁ?くれない?」


 電話をとる。


『ゆう兄ちゃん‼あのね~‼』

『あのね~‼じゃなくて、お前、何してるんだ。兄ちゃんは、今イングランドにいて……』

『あたしもいるの‼エッヘン‼』

『エッヘン‼じゃなくて、何でいるの‼』


 妹に告げると、


『うん?えっとね。ゆう兄ちゃんは知らなかったっけ?あのおっさんが今こっちに来てるんだよ~。だからぶん殴りに来たの。でね?えーとここはどこかなぁ~?アルファベット読めなくて、おじさんに身ぶり手振りで、聞いたらでパ、パディントンって言ってた‼熊がいるよ‼赤い帽子に、青いコートの‼』

『誰と来た~‼』

『一人だよ?』

『お前、英語出来ないじゃないか‼』


その言葉に、


『う~ん。だって、ゆうにいちゃんに会いたかったもん……ダメ?』

『……』


一瞬、黙りこんだが、


「ウェイン……どうしよう。俺の上の妹が一人でこっちに来てるって」

「どこに?」

「パディントン駅」

「じゃぁ、遠回りするから、そこで待っていてって言ってくれる?」

「ごめん‼」


祐也は、


『紅‼そこで絶対に待ってろ‼いいな?変なことに巻き込まれないように‼と言うより巻き込むな‼』

『さき、スリのおっちゃんを叩きのめしたよ~?』

『だから、その正義感を、勉強や恋愛に費やせ~‼』

『だって、ゆうにいちゃん以上の良い男、いないもん』

『大人しく待ってろ~‼いいな?じゃないと、迎えに行かない‼』


言い聞かせ電話を切ると、ゼハーとため息をつく。


「大丈夫かい?祐也が怒鳴ってるの珍しいね?」

「いや……家の父は普通だけど、母と妹二人が俺に過保護と言うか……べったり?その上、今、パディントンの駅にいる、上の妹……17なんだけど、特に俺に『おにいちゃぁぁん‼』って感じで……」

「へぇ。名前は?」

「『紅』。真紅っていうのかな?鮮やかな、あの写真の穐斗の唇の色のこと。もう一人は『ひめ』。お姫様っていう意味。15才だけど、二人とももっと勉強すれば良いのに。紅はあの体力で高校に入学して……今も聞いたら、アルファベット読めなくて、身ぶり手振りでパディントン駅にいるって解ったって……何て、強者なんだ‼英語できないのに突撃‼」


 嘆く祐也に、


「まぁ、良いんじゃない?迎えにいったら、挨拶させて」

「あぁ、それは良いんだけど、前もっていっておくけど、ブラコンでごめん……」


その紅がウェインを振り回すようになるとは、二人も想像してもいなかったのだった。

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