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第5話、清水穐斗は彼女いない歴=年齢です。

 穐斗あきとは、病院の銀行キャッシュコーナーから、お金を引き出すと支払う。


 まだ18歳の未成年であり、使うものは、可愛い多肉植物の苗代と食費、他に必要になったとしても、家賃や電気代ガス代は銀行からの引き落としで、水道代は共益費に入っている。

 つまり、お風呂はガスで沸かすので、ガス代は必要だが、水は自由に使えるので万々歳である。

 お風呂はボーッとするのに最適で、何でも頭を突っ込む姉によってアロマやハーブも勉強した穐斗は、実家で母が育てているハーブガーデンからお気に入りのハーブを乾燥させポプリにしたり、役目を終えたポプリを入浴剤がわりにいれて、その後ごみとして捨てるのではなく多肉植物の土に混ぜて、返している。




 昔は本当に、自分では記憶にないが母によるとひどい不眠症で、夢遊病の気もあったらしい。

 その為に姉によると、


「あんたのその変な病気を治すために、あたしは勉強してたんだから、感謝しなさい‼」


と言うのだが、記憶にないことではあるし、その成果のなれの果てが、置き去りのパワーストーンとアロマの機材、オイルの数々では意味がない。

 その上、アロマオイルを簡単な陶器の容器の上に水を張り、数滴垂らして下でアロマキャンドルで焚くのが一番簡単な方法だが、実家ではそれは完全に禁じられている。


 母は余り知られていないが、実家でテディベア教室を定期的に開いているテディベア作家兼テディベア収集家であり、庭に何種類ものハーブを育てては、苗やポプリ、お店ではハーブティとハーブを練り込んだクッキーを提供している。

 一時期、イギリスやドイツ等に留学して、ハーブやテディベアを学んだ母は『白魔女』と自分を呼び、喫茶店兼教室兼家で日々を生き生きと過ごしている。


 その為、当然アロマも詳しく、子供達である姉と穐斗に教えた。

 しかし、姉は母のように繊細ではなく、アロマオイルを集めても使うのが面倒になり、ふと入った100Yenショップで陶器の器とアロマキャンドルを買ってきて焚いた。

 それは悪いことではないのだが、姉は目を離し、上に溜まっていた水が蒸発し、そして、


「まぁいいか」


と、キャンドルに立て掛けていたマッチが熱でいぶされ、テーブルを焦がし煙が広がり、消防車が来た。

 確認し大がかりな放水までには至らなかったが、母は激怒した。


「貴方は‼何てことをするの‼」

「ごめんなさい……周囲に迷惑をかけました」

「違うわよ‼お母さんの可愛いテディベアちゃん達が、煙を浴びて変な臭いまでついちゃって、ひどい‼何て酷いことをするの‼お母さんは、皆を差別して育てた訳ではないのよ‼皆仲良く、楽しい家族をって……あぁぁぁ‼ごめんなさいね~‼リズちゃん‼一番被害を被っちゃって‼お母さんが、お姉ちゃんを怒っておくから、泣かないでね‼」


 泣きながらテディベアを抱き締めスリスリする母を見て、姉に、


「姉ちゃん。母さん怒らせると後で厄介だから、もう二度としないでよ」

「そうするわ」


となった。




 しかし、アロマオイルはそのまま使うことはおすすめしない。

 先程のように、水の上に数滴垂らして下でアロマキャンドルを焚いて使ったりが基本である。

 もしくは最近は、アロマオイルを数種類混ぜて、精製水で薄めて、100Yenショップの携帯用ふたつきスプレーに入れておくと、ちょっとした時にさっと使える。

 穐斗ならば、大学の上級生達のタバコの臭いが喘息持ちで耐えられない為、先輩達のいる部屋から出た後、服に吹き付けたり、今ならば風邪やインフルエンザの抵抗力をあげる補助の役目をするアロマオイルを混ぜて、なるべく寄せ付けないアロマスプレーも作ることもできる。

 直接身に付けるとかぶれたり、臭いが強すぎるので、薄めるのが原則である。


で、良くアロマオイルで体のマッサージをするものもあるが、それは、数種類のアロマオイルを本人の体調と好みで選び、それをアーモンドオイル等の体に負担のかからないオイルに混ぜ、それで体をマッサージするのである。


 ちなみに、ポプリの臭いが薄くなったら、ビニール袋の中にポプリをいれて、そのポプリの香りのアロマオイルを染み込ませたティッシュ等を入れて、数日すると匂いは戻る。

 そしてポプリは、寝室には安眠効果のあるラベンダー、冷静さ、落着きはカモミール等がいい。

 それに、口のなかをさっぱりさせたい時にはカモミール……カモマイル、カミツレ……をオイルではなくカモミールティでうがいをするとさっぱりする。


 ハーブは実家で母が育てているので、良く干して届くものをポプリにしたり、ハーブティにして楽しむ。

 お茶や珈琲、紅茶はカフェインがあるので興奮剤代わりになり、常にのみ続けると、興奮して夜に眠れなくなることも多い。

 ハーブティにすると眠りやすくなる。

 現在、穐斗はカフェラテ等を飲んでいるが、母にきつく、夕方以降は飲んではいけないと言われている。

 一度だけ飲むと眠れなくなり、お酒を飲んでいないのに酔っぱらい、それが、祐也ゆうやとの出会いになったのも縁ではあるのだが……自分の酒乱ならぬカフェイン酔いに、もう二度と夕方以降に飲むかと誓っているのだった。




で、本来は、怪我をさせた本人、祐也がお金を払うのだが、


「悪い‼お金ないです‼」


手を合わせた。


「いや、期待してないから」

「期待しろよ‼」


 突っ込む友人に、首をかしげ、


「合コンどうだった?」

「そっちは期待するな‼」

「せっかく、『いい人』なのにねぇ?」

「それを言うなぁぁ‼俺だって聞きたい‼」


祐也は叫ぶ。


「合コンで知り合っても、『ありがとう、いい人ね』ってなんだぁぁ‼」

「と言うか、祐也自身も、彼女が出来てもどうしたいの?」


 薬を待っているのと、しばらく病院で落ち着いてから帰るようにと言われている為、椅子に座りブラブラと足を揺らせる。


「彼女ができて、どうするの?」

「って、普通に付き合って……って、お前だってどうするんだよ‼」

「う~ん。それが解るなら、彼女いるよ。それに、僕は、何か変人って言われているし、それよりも、多肉植物さん達の事が心配だなぁ……」


 考える。


「う~ん……あ、顔痛い……。それに、眼鏡買いに行かないと……」


 彼女と言う影もない存在よりも、多肉植物と眼鏡の方が大事だったりする、青春真っ盛り18歳のはずの穐斗だった。

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