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第3話、清水穐斗の友人の安部祐也くんです。

「うーん。やっぱり、実家は南西向きの部屋に住んでいたけど、あそこってやたら夏は暑いんだよね。南向きは、多肉植物さん達にはもってこいなんだけど、勧めてくれた不動産やさんの見せてくれた部屋って、カビが生えてた。それに近くに小高い山もあるし、冬になったら日陰になって、梅雨になって雨が降ったりしたらジメジメするのも嫌だったから、東向にしたんだけど……多肉植物さん達、大丈夫かな……」


 冷たい風に身を縮めて歩く。


 因みに穐斗あきとは、身長自称162センチ、体重は45キロのヒョロヒョロである。

 運動はそこそこだが、筋肉がつかず、食べても太らない。

 甘いものは好きだが、ケーキよりも和菓子が好きである。


「うーん。冷たい。やっぱり、コンビニでホットレモンか、ホット柚子か……お湯は貰って、葛湯も捨てがたい……」

「で、黒糖まんじゅうを食べる‼って、お前の思考回路は、その程度か?」


 背中を叩かれ、よろめいたと言うよりも前に転倒した穐斗。


「あ、ワリィワリィって……ゲッ!お前‼」

「痛いじゃないか~‼って、眼鏡が割れた‼」

「その前に、その顔面の怪我‼ワァァ‼すまん‼」

「えっ?血……痛い……寒い、それより、眼鏡がないと、前が見えない……」


 膝と手をついて下を向いた状態で、ぼたぼたと落ちる鼻血に眼鏡全壊、額も擦りむいた穐斗は呟く。


祐也ゆうや……どうしよっか……顔あげたらしみるよね?」

「その前に、これで顔を押さえとけ‼大学の医務室に連れていくから‼」

「うえぇ……汗臭いタオルで、顔を?」

「鼻血の顔で、大学まで行くか?」

「それも嫌だなぁ……」


 渋々顔をおおうと華奢な穐斗は、大柄な祐也に担がれ、大学の医務室に連れていかれ、額はひどい擦り傷だが、鼻の軟骨が折れていると言われ、救急車で病院に行くはめになった。


「どうしたのですか?」


 救急車で病院に運ばれる前に、救急隊員の人に問いかけられ、


「えーどぉ……家から、ここばで道を歩いでいだら、この、友人に背中せだかを叩かでで、吹っ飛んだど言うが……ばえに倒れましだ……」


鼻声で伝える。

 因みに、倒れた時に強く顔面と体を打ち付けた上に、膝も擦りむいていて、かなりの重症である。

 救急隊員は、うつ向いている少年……18歳に見えない……の横で、大きな体を小さくしている、どう見ても体育会系の大学生をみる。


「すみません。俺としては普通に……他の奴等とかわんない程度で叩いたんですが、こいつ、めちゃくちゃ小さくて……」

「まぁ、君と彼を見たら良くわかるよ」


 穐斗は本当に華奢で、祐也は普通の学生でも大柄な方である。


「悪気はなかったにしろ、これはひどい。まずは病院で手当てを……」

「入院ですか‼」

「……そでだけは、いやれす……家にはかばいい……」

「穐斗‼黙れ‼それ以上言うと、益々変人だ‼まずは病院‼」


と、そのまま救急車で運ばれて、診察を受けた後、


「『鼻骨骨折』です。良かったね。『鼻篩骨骨折びしこつこっせつ』ではなくて」

「どうちがうんれすか?」


穐斗は問いかける。


「君の骨が折れた部分は、ここ。鼻篩骨はその下で、両眼の間の骨。鼻骨は手術が楽なんだよ。鼻篩骨が折れると、脳に影響がある場合があってね……今回のような転倒ではなく、交通事故で強く顔面を打ち付けたとかで、色々と検査の上行われる。今回の場合は簡単だけど、麻酔、どっちがいいかな?局所麻酔と全身麻酔」


 穐斗はボーッと答える。


「えーと、じゃぁ、局所で‼」

「おい‼コーヒーをホットですか、アイスですか?程度のあっさりさで、答えんな‼」

「えぇ~?歯の麻酔、効かなくて何回も打たれて、アホンダラァ‼とかよりも、早く終わるよーって言ってくれてるんじゃないか。こう言う時には、教えてくれて先生ありがとうって、素直に聞こうよ‼」

「アホ‼何で普段は、ま、いいか、で、こう言う時には積極的なんだ‼」

「家の多肉植物さん達が心配してるかも知れないから。じゃぁ、先生よろしくお願いいたします‼」


 妙な所で乗り気の穐斗は、手術することになったのだった。

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