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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勝利を得た王の宣言

作者: 松雨 亀丸

つたない文章ですが、読んでいただけたら幸いです(笑)

国王が己の剣をもって帝王に止めの一撃を与えた。

帝王は死んだ。


そして戦争が終わった。


国王は剣を鞘に納めてから静かに帝王の亡骸を見つめた。背後では国王側の兵士たちが勝利の歓声を上げていた。王は長いマントを靡かせながら仲間の方を振り返った。


「…結局私は思ったんだ。」


王と共に戦争に参加していた側仕えの騎士たちや貴族を始めとする兵士たちは、唐突に話し出した王の表情を見て息をのんだ。いつもの快活で華やかな雰囲気が鳴りを潜め、代わりに落ち着いた静寂を纏う「人」がそこにはいた。


「ここに私の剣があるだろう?」


そう言いながら王は己の剣を再度抜き放ち、光に翳す様に真っすぐ掲げた。

剣には、多くの者を切って被った血がこびり付いている。切ったばかりの帝王の血は、殊更真紅の色で鈍く光る銀色の刀身を彩っていた。王は目を細めて剣の刃を見つめた。


「私はな、全ての凶器を手放すには、意地を張るほどの頑固さが必要なんだと思う。

 己の大切なものが全てこの世から消えたとしても、己が生命の危機に晒された時でも、目の前で消えそうな命があったとしても、己の意地を馬鹿馬鹿しく思ったとしても、一度凶器を手に取ったら全てが終わる。…だが、きっとそれが叶う世界は「狂気」にまみれた世界なのだろう。たとえどんな勇者だろうと、臆病者だろうと、神だろうと、悪の覇者であろうとも、何かしらの状況下で凶器となりうるもを使う判断を下しているのではないかと思う。これこそまさに弱肉強食を体現する世の理だとは思わないか。

 私は平和な国を目指すが、完全に武器を捨て去ることはしない国を作るつもりだ。」


王はここで一度言葉を区切ると剣を鞘に納め、皆を見渡した。


「・・・恐らく人が争いを求めなくなることは無いだろう。

 世界に等しく均衡があるように、私たちの歴史・行動・思考も均衡を保っている。

 どちらかに転んだら、時間をかけてでも反対の方向に力が動いて元に戻ろうとするだろう。

 それは私たちも同じだ。

 我らは帝王に打ち勝って、王国の自由を手にした。

 国の平和を目指すための布石を手にしている。

 私はこれから国の礎となる。そして近いうちに国を新しく作り上げるだろう。勿論お前たちと共にな。

 だがそれも幾年月が過ぎた後に滅び、新しく生まれ変わるようになるだろう。

 今この時を生きる私たち自身のためにも、最善を尽くしていこうと思う。

 私はこの国の王だ。

 皆、これからもよろしく頼む。」


仲間たちから大きな歓声が沸き上がった。

王は笑みを浮かべた。それは普段の快活さを見せる王の姿だった。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました!!!

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