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1-6 大阪と言われても

 その次の日の昼休み。夢乃に対し過激派がついに動いたのだった。

「ある政治家が言っていたんだが、政治の世界は九割方仕組まれている。わたしが成し遂げられたのは一パーセントに過ぎないと。つまりこれは政治家すらも駒であり、強いてはその政治家を選ぶ選挙すらも操作されていることにつながるんじゃないかってことだ」

 昼食を食べ終えた尾栗は「何か面白い話を」とクラスメイトに言われたので、最近仕入れた陰謀論を話していた。横目でライバル……にしてはコミュ力の差がありすぎる夢乃を視野に入れる。

 尾栗は夢乃の周りを囲む生徒が気になって仕方がなかった。何かやらかさないか不安になる。もちろんやらかすのは夢乃の方だが。

 夢乃は囲むクラスメイトを無視して『異界新聞』なる胡散臭い新聞を広げて、目を輝かせながら読んでいた。

 そんな態度にクラスメイトは非難の声をあげる。勝手に寄って来て文句とは頭の悪いことこの上ないが。

「何でもいいから話してくれよ。異世界人の情報とかさ、新聞の内容とかさ」

 うんざりといった感じで夢乃は睨み付けながらもぼそぼそとその問いに答えた。

「この新聞は異世界サークルに入らなあげられへん。それは無理や。ほんであんたらが異界に行きたいとは思われへん。ふざけた覚悟で異界の情報は渡されへん」

 さらりと違和感なく言葉にした異世界サークル。その響きを非日常を求めるクラスメイトが逃すわけがなかった。

「えっ? 今面白いこと言ったけど。なに、異世界サークルって」

「これ以上の情報公開はできへん。わたしが不利益になる。なんかええ情報くれたら少しくらい教えたるけど」

「んだよ、ケチ。大阪人はやっぱケチだな。大阪人なら面白いこと言えよなー」

 間延びしたクラスメイトの声。その後に唐突に響く鈍い音、そしてクラスメイトの悶える声。

 何やってんだオラ! という他のクラスメイトの声から察するに、夢乃がクラスメイトを殴ったのだろう。

「わたしは大阪人でもないし、大阪人やとしても面白いことなんか言われへんわ、アホ。てかこの世に面白いものなんかあるか!」

 そういうと夢乃は教室を飛び出し、立ちふさがる男子どもの鳩尾にニードロップを食らわせながら逃げていった。ひらひらと揺れるスカートにエロさのかけらもなく、その後ろ姿はカンガルーを彷彿とさせた。

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