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プロローグ

 夢乃の関西弁はテレビから聞こえてくるものと違う。

 緩く、冷たく、柔らかい。

「それは最近、この地域周辺の召喚頻度が増えてるからや」

 その声質は澄んでいて耳触りは悪くない。けれどその内容は無益でしかなく毒に近い。

「俺は富士沢で行方不明者が出たって話をしてるんだ。話題になってる連続失踪事件の。オカルトやファンタジーの話なんてしてない」

 やれやれとため息交じりでクラスメイトの尾栗は言った。

「先月はこの町で、今月は隣の市。先々月は三人の頭子市民が行方不明――」

「異界がこの周辺に目を付けたんや。きっと彼らからすると未開の地やったんやろ」

「というかさ、本当にその行方不明者って実在するのかって話だ」

「どういう意味?」

「市と名前しか公表されていないんだから実在するかなんてわからない」

「そんなの市役所に行ったら――」

「戸籍をねつ造するなんて政府なら朝飯前。今の時代、SNSやらがあるからネットで名前を調べればでてくるはずなんだけど、この半年間に起きた淞南連続失踪事件で失踪者の名前をググってもヒットしたのは二人だけだった。十五人もいるのに。これは少ない気がする」

「本当に思ってるん?」

「どうして?」

「意地悪な陰謀論やから」

「そりゃ意地悪もしたくなるよ。こんなところに連れてこられたらさ」

 富士沢駅周辺の雑に並んだビルにあるテナントの一つ。

 そこには『4F異世界サークル』と書かれていた。

「俺たちは受験生だぞ。こんなとこで時間潰してる余裕なんかないだろ。約束通り一七時三十五分までだからな」

「わたしは大学なんか行かへん。行先は異世界や」

 陰謀と策略にまみれた現時代から隔世されたようなサークルに、これから二人は向かう。

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