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『W.A.R.』  作者: sethy
STAGE 2
95/332

 がん、という金属質な音がしたのはその時だ。


 額に当てた手を下ろし、音のした方に視線をやる。


 殺風景な壁の一画に、壁と一体化した扉があった。覗き窓もない扉は、扉というよりは蓋を思わせる。よく見ないと扉とは絶対に気づかない。


 金属の音は、その扉が開錠された音だった。すでに薄く開かれているのだろう。これまでは聞こえなかった声が聞こえてくる。


 扉の向こうで、誰かが話していた。


 俊哉は自分の身なりを確認した。誰が入って来るにしても、見られて困る恰好というものはある。


 本能的な理性で確認した自分の服装は、幸いにも記憶が途切れた時と同じ、制服姿だった。上がけのシーツを剥いで、下半身も確認する。ちゃんと穿いている。ズボンだけではなく、しっかりと学校用のローファーまで履いていた。


 脱いだはずの靴を履き、しかも履いたままベッドに横になっている違和感は、かなりのものだった。履かされた記憶はないし、履いたままベッドに横になる習慣もない。


 ひどい違和感だったが、いまは開かれようとしている扉、その向こうにいるのが何者なのかを確認することが優先された。


 俊哉はベッドから降り、扉に正対した。


 扉までは五歩の距離がある。

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