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目を開けると殺風景な天井が見えた。
見知らぬ、天井だった。
誰かの声が聞こえた気がして、俊哉は目を覚ました。
だが、何も聞こえない。
遠く近く、ごつい革靴の足音らしき音は聞こえたが、それ以外には何も聞こえなかった。
ここはどこなのか。俊哉は上半身を起こすと、天井同様殺風景な室内を見渡した。
壁も床も天井も、むき出しの鉄板だった。部屋、というよりは倉庫やコンテナの中を思わせる。
いま、自分が寝ているベッドと、その傍にある鉄製のサイドボード。調度品らしいものはそれだけで、窓もなく、外の様子もわからない。小さな蛍光灯の明かりが照らす、徹底的に無機質で、ぬくもりのない部屋。ただ寝ることができればいい、といった印象の部屋だった。
死んだら天国か地獄に行くらしいが、鉄板に囲まれた部屋に入れられるとは聞いたことがない。
頭を振って覚醒を促した俊哉の思考に、徐々に蘇ってきた記憶が、この場所へ至る出来事を思い出させた。




