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白人の男が何か怒鳴っている。
今度はゆっくりと視線を戻した俊哉に、声を上げながら白人が近づいて来た。
その傍らには依然拳銃を握り締めたままの黒人が立っている。
その映像が、ゆっくりと光を失っていくのを、俊哉は見た。
状況が理解できず、突発的に過度な恐怖に晒された頭が、限界に達したのだった。
意識を保っていられない。
ここで気を失えば、もう目覚めることはないかもしれない。
踏み込んできた外人たちの目的もわからない状態では、これが生の終わりとなるかもしれなかった。
頭の片隅で警鐘が鳴り、両親や友人たちの顔が脳裏を過ぎったが、それでも意識が劇的に覚醒することはなかった。
白人がまた何かを叫んだのが聞こえたが、それが最後だった。
俊哉の意識は、完全に闇へと落ちた。




