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『W.A.R.』  作者: sethy
STAGE 1
91/332

86

 拳銃だ。

 

 俊哉は一目でそれと判断した。


 無論、実物など見たことがない。映画やドラマで見た知識でしかない。


 それでも、疑いようがなかった。あれは本物の拳銃だ。


 しかし、本物の拳銃となぜわかるのか。


 断定した瞬間に浮んだ自問が、自然と視線を倒れた男に戻した。


 未だに俊哉を凝視し続ける男の、もみ上げに穿たれた黒い点を見る。


 あれは撃たれた傷としか思えなかった。


 撃ち殺されたのだ。


 あの黒人に。


 窓の外から。


 小さな庭から。


 白く立ち昇るのは、発砲後の熱か、それとも火薬の煙か。


 ぞっとした。


 全身の血の気が引く音が聞こえたように思えた。


 ナイフを振り上げられた時を優に超える恐怖が、頭から爪先までを貫いた。

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