90/332
85
黒いスーツの男が二人。
一人はノーネクタイの白人。
もう一人は窮屈そうにネクタイをしめた体格のいい黒人だった。
どちらも同じような年齢に見えた。黒人のつやつやした顔からは生気が満ち溢れ、白人の鋭い眼光からも同質の輝きが見て取れた。
まだ若い、二十代半ばぐらいだろうか。
しかし、次に目に飛び込んだものを見て、相手の年齢などという、そんな瑣末な情報は俊哉の頭から霧散した。
黒人の男が、黒い塊を握り締めていた。
金属製と思われる全体の、後ろ半分は掌に隠れて見えなかったが、そこから飛び出した筒状の部分は、はっきり見えた。
筒先は一段細くなり、その部分だけ後づけされたとわかる。
そしてその先端からは、うっすらと白い煙が立ち昇っていた。




