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倒れた男の頭の辺りに、赤い液体が広がっていた。
それはいまも、徐々に広がっている。
よく見れば、男のもみ上げの辺りに、黒い点のようなものが現れていた。
赤い液体はそこから噴き出している。
ごぼごぼという音が聞こえてきそうなほど噴出する液体は、頬から顎を伝って床に流れ、いまなお床に浮き出た不気味な模様を広げている。
死んでいた。
おそらく、あれは死んでいる。
噴き出しているのは大量の血液だ。
妙に赤黒いのは、頭の中、つまり脳の液体が混ざっているからだろうか。
死んだ。
自分を殺そうとしていた不審者が、死んだ。




