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『W.A.R.』  作者: sethy
STAGE 1
82/332

77

 逃げなければ。


 とにかく逃げなければ。


 あのナイフが何をするためのナイフなのか。それは火を見るよりも明らかだった。


 他人の家に忍び込み、家のものに見つかっても逃げ出さず、力任せに投げ飛ばした挙句、取り出したナイフが子どものおもちゃという冗談もない。


 殺される。


 意味も、理由もわからず、この場で、この外人に、おれは殺される。


 どうやら自分が叫んでいるらしい、と気づいたのは、闇雲に身体を動かし始めた後だ。


 まともに動いてくれない身体で、俊哉の両手は無様にフローリングを掻いていた。


 だが、足をもがれた虫のように、身体はその場から、まったく動かなかった。

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