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途中、どこに寄ろうと構わない身だったが、寄ったところで何かすることがあるわけではなかった。
それに、家に帰れば、帰路でイメージしたフライトを即実行に移すのだ。当てのない寄り道よりも遥かに優先される思いに駆り立てられ、俊哉は直行直帰のサラリーマンよろしく、きっかり二十分後には自宅の前に辿り着いていた。
最寄りの駅からも徒歩で十分以上離れた、閑静な住宅街に位置する家。俊哉が小学生の頃に建てられたものだ。
家としてはまだまだ新しい部類に入れられるだろう、白壁の一軒家をちらりと見上げて、俊哉は開け放しになっているガレージに自転車ごと乗り入れた。
ガレージの隅に自転車を停め、カバンを持ち上げる。中からキーケースを取り出して、家の鍵を用意した。
玄関の前に立ち、鍵を挿そうとして、俊哉はその手を止めた。
どうやら玄関が開いているようだった。




