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「あ、先生来た」
「じゃ、内川くん、また後でね」
由利の友達二人が離れ、最後に由利がまだ何か話したげな目を一瞬向けて、振り返った。
なんだよ、とその背に小声を投げてみると、肩越しに振り返った由利の口が、「また後で」と動くのが見えた。
なんだかね。
そう思いながら、ため息を吐く。
吐きながらも、胸の内は悪くない。
むしろもっと真逆の感情がその胸元を温めている感覚があった。
担任の平野先生が教壇に立つ。見計らってかかった日直の起立の号令に合わせて、俊哉は脱いだピーコートをカバンの上に投げるように置いた。




