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夢中になれるものを見つけたつもりでいた。
胸を張って言えるようになると思った。
だがそれは、あっけなく撃墜された。
にもかかわらず、名前だけが先行してしまった今を、俊哉は受け止め切れずにいた。
上には上がいる現実を認めざるを得ず、しかし本当に夢中になれるなら、懸命になれるなら、〝ライオンハート〟にも勝てるはずだ、と感じている自分を、無視することもできない。
だが現実には昨日の夜のようなことが何度も起こる。あっさりと。不可能と思ったことを目の前で可能にされる。
そこに燃えるような悔しさはなかった。
初めはあったのかもしれない。
だが今感じるのは、悔しさには至らない、どことなく空虚な感覚だった。
どんなに頑張ったところで、無意味。
そんな虚しさだ。




