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それが〝ライオンハート〟と操縦者が表示された《F―16》だった。
ハイスピード・ヨー・ヨーの軌道で張りついて来た敵機を引き剥がそうと、俊哉はシザーズの軌道を取った。
右へ、左へ、上へ、下へ。三次元的な揺さぶりをかけながら、同時に敵機との距離も意識に置く。
一瞬のうちに空対空ミサイルの有効射程まで詰め寄られてしまったいま、一瞬でも動きを同期されれば最後。ミサイルシーカーの赤外線が、俊哉の操作する《F―15E》のエンジンノズルを捉え、貪欲な牙となったミサイルが食らいつく。〝ストライクイーグル〟の異名を持つ俊哉の愛機も、その一撃を受ければひとたまりもない。
掌がじわりと湿った。
額にも汗が浮かぶ。
とにかく必死で逃げ回ることだけを考えた。
だが離れない。こんな腕前のプレイヤーとは戦ったことがない。
敵組の他のメンバーも相当の上級者らしく、味方の支援は期待できなかった。




