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「お、きたきた」
「世界ナンバーワンパイロットのご到着」
「コーヒー買って来てくれた?」
入口から百メートルほど入ったところに、この公園の象徴になっている大きな噴水があった。周りには屋根を備えたベンチがいくつかあり、噴水を等間隔に囲んでいる。
その一つに、疑惑の目など気にしない制服姿が三つ、固まっていた。
朝の挨拶などそっちのけで、思い思いの言葉を投げてくる三人の傍に自転車を止めると、俊哉もその輪の中に加わった。
「だからコーヒーはてめえで買えと」
「買ってきてよー 寒いんだよー」
甘えた声を出すのが、一番大柄だから気持ち悪い。シノ、こと篠崎康平は、ベンチの上に長くなり、俊哉に猫なで声を出す。
「世界最高のプレイヤーをパシリになんか使うもんじゃないぜ」
なあ、と同意を求めてくるのが奈美真治。男らしく彫りの深い顔立ちで、女子からの人気も高いのだが、そのことを知らないのは当の本人だけ。小刻みに足を揺らしながらベンチに座って雑誌をめくっている真治は、一度だけこちらを見たが、すぐにまた雑誌に視線を落とした。




