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信号待ちで止まった交差点で、俊哉は首に巻いたマフラーを鼻の上まで引き上げて暖を取った。
クロワッサンを食べる手間があったので、手袋はまだはめていなかった。
すでにしっかりとかじかんでしまった手に息を吐き、自転車の前カゴに突っ込んだカバンから手袋を取り出してはめた。
そのタイミングだった。ピーコートのポケットで、ケータイが鳴りはじめた。
しぶしぶ手袋を取って、ポケットからケータイを取り出す。
再び、シノ、と差出人が表示された受信ボックスの新着メールには、
『コーヒー買ってー あったかいのーw』
とあった。
『てめえで買えw』
かじかむ手で短く返し、青になった信号を渡る。




