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兵士がまた応戦した。
間近で聞く発砲音は、それだけで十分な暴力になり得るのだと、ロバートは三十五年の人生の中で初めて知った。
「博士!」
また攻撃が激しくなった。いま言葉を交わした若い兵士以外にも、こちら側には三人の兵士がいて、それぞれ壁や柱の陰に入り、応戦を続けている。だが、状況は悪い。それどころか、艦長の放送を聞いた瞬間、相手方の銃撃は、明らかに激しさを増した。
「行ってください、博士。パイロットは必ず我々の仲間が確保します。今は機体を!」
これ以上、躊躇している時間はない。
ロバートにもそれがわかった。
巨大な扉までは約二十メートル。その横についている開閉管理端末に飛び付き、扉の中へと滑り込む。その行動をイメージし、走り出そうとした時だ。ロバートの手を若い兵士の手が握った。