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「……そりゃ、大変なことで」
「今度はあなたと同じ歳ぐらいの高校生みたいよ」
ふーん、と曖昧に相槌を打って、クロワッサンを銜えた。
まだ朝食の準備は完全ではないらしく、母は話しながらキッチンの奥へ入っていく。
見るものもなく、ラジオ代わりにつけられたテレビは、事件の詳細を伝え続けていた。
「ごちそうさん、もういくよ」
「まだパンしか食べてないでしょう、ちょっと待ってなさい」
呼び止める母を、遅刻するから、とかわし、家を出た。
少し素っ気なさすぎたか。わずかに胸が痛んだが、今さら戻って朝食の席につくわけでもなかった。
自転車に乗ると、出がけにもう一つ持ってきたクロワッサンを食べながら、通い慣れた道を走った。




