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警察官、それも警視庁捜査一課の刑事同士のもとに生まれた俊哉にとって、そんな母の様子は、別段驚くに値しない、見慣れたものだった。
未だ事件の詳細を語り続けるアナウンサーと、母の背中を交互に見つめ、俊哉はすぐに食卓に視線を戻した。
薄情なようだが、今は殺人事件よりも自分の腹の空きようが事件だ。
「あなたも気をつけないさいね」
「……何が」
牛乳の注がれたコップに手を伸ばし、口をつけた時にその言葉だった。
アナウンサーの淡々とした声だけを聞くともなしに聞いていた俊哉は、突然かけられた母の声に驚き、噴出しかけ、むせるようにしながら、どうにか返答した。




