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全国を股にかけ、小学生まで手にかけた凶悪犯罪。
日本犯罪史上、例を見ない犯罪だ、と父が言っていたのを、俊哉は思い出した。
警視庁捜査一課の警部である父は、凶悪犯を追いかけ、元々家を空けがちであったが、この一ヶ月、特にここ数日は、まったく顔を合わせていない。
「子供を殺してその死体を切り刻むなんて、どんな精神よ」
かつての捜査一課の紅一点が、憎悪と推理の目をテレビに向けている。
そこには決して好奇の色は宿らない。それが一般の家庭とは違うところだ。
マスコミが伝える報道がどんなに過熱し、劇場化したとしても、推理こそすれ、そこには常に、犯人に対する憎悪がある。




