3/332
3
「私たちだけでここを食い止めるには限界があります。ですから、先に行ってください、博士。それが私たちを救うことにもなります」
先ほどよりも声の大きさを落とした兵士の声に、ロバートは視線を正面に向けた。
そこに巨大な扉がある。ロバートの身の丈の三倍以上はある、鋼鉄製の扉だ。
私たちを救うことにもなる。兵士の言うことは正しいのだろう。この扉の奥にあるもの。それがこれだけの銃撃戦を引き起こしているのだから。
『全艦内に達する。こちら艦長のロナルド・ヘイゼン』
兵士がコンテナから銃口だけを突き出し、自動小銃を乱射した。散発的になっていた相手方からの発砲が、また強くなった。
『我々は計画を阻止するために行動することを決意した』
しかし全艦放送から聞こえる艦長の声は、銃撃音に遮られたりはしなかった。落ち着いたバリトンヴォイスは施設内に反響し、全身を震わせる。
『我が艦はこれより、合衆国の指揮下を離れる』