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ちらりとキッチンを覗く。
洗い物をしているのだろうか。水の音と、流しに向かう母の背中が見えた。
本当に好きならば、どんなことでもいい。懸命にやりなさい。
この背中に、俊哉は昔からそう言われてきた。
その言葉には、一片の嘘もないのだろう。だから母は周りの同級生たちがどうとか、周りの親がどうとか、そういう判断で自分の子供を見ていないのだ。本当に好きならば、本当に懸命になれるなら、どんなことでもいい。学校の勉強でなどなくていい。パソコンのオンラインゲームであってもいい。
そう、あれはゲームだ。
大空を自由に飛び回り、敵を撃つ、ゲーム。




