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『〝ライオンハート〟がやったのか! すげえな、なんだあれ』
『おつかれさま~ 支援感謝します』
『あんな速度でいけるもんなんだ』
『いや、普通無理だろ』
次々とオート制御に切り替わった〝パイロット〟たちから、思い思いの言葉が打ち込まれ、ログはすぐにいっぱいなった。
機を逸した〝ソーサラー〟は、バックスペースキーに指を伸ばして、打ち込みかけた言葉を消した。
またやられちまったな。
消した言葉を反芻した〝ソーサラー〟を追い越し、〝ライオンハート〟の《F―16》が、その愛称である『ファイティングファルコン』の姿そのままに、悠然と帰還していく。
悔しさ、とまでは言わない。だがどことなく空虚な、劣等感に似た感覚を抱きながら、その機体の姿を画面上に追った〝ソーサラー〟は、同時に画面の端に表示された現在時刻を確認した。そして改めて、チャットに言葉を打ち込む。
『悪い、ここで一回落ちるわ』




