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ほんの数秒前までは、渓谷に侵入していたのは自分だけだったはずだ。
さらにそこからかなりの速度で飛行してきた。
超高速で飛行し、自分が危険と判断した距離を越えて攻撃を成功させた何者か。
そんな恐るべき腕前を持った〝パイロット〟は、このチームに一人しかいない。
渓谷内からどうにか脱出し、ミッション終了と同時にオート制御に切り替わった操縦桿から手を離した〝ソーサラー〟は、IFFを確認せずともわかる相手に話しかける言葉を打ち込もうとした。
『もう一歩突っ込めたやろ、〝ソーサラー〟』
だが、打ち込み始めた言葉が完成する前に、相手の言葉がチャット画面に表示された。
〝ライオンハート〟と冠した言葉の向こうで、世界ナンバーワンプレイヤーがほくそ笑む姿が見えた気がした。




