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〝ソーサラー〟はサイドスティック式操縦桿の上部にある、赤いボタンを押し込んだ。
わずかな振動が操縦桿を通して伝わる。
主翼下のパイロンに取りつけられたランチャーから、ミサイルが離れた振動だった。
それを感じた時には、HUD画面の中を炎が走っていた。
捕捉した熱源へ向けて一直線に飛ぶ、WVRミサイルのロケットモーターの炎。
着弾までは一秒とかからない。
ミサイル自身が放っていた炎が突然大きくなったように見えた。
それが炸裂の瞬間と理解する前に、撃墜の轟音が臓腑に響く。
その余韻を聞く前に、自機は落下して行く敵機の残骸の上を通過。
同時に次の目標を捕捉。
新たな標的へ向かって飛ぶ。




