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「ぼくたちには時間がないんだ」
罵声に身を縮めたのを見られたのだろうか。ロバートが彼らの状況を説明するかのような言葉を口にした。
そのまま広い空間の内部を少し歩いた。まだこの場所が、空母の中のどのような場所に当たるのかまでは飲み込めず、ただ行き過ぎるツナギ姿の外人たちを見送る時間が続いた。
そうしてしばらく経った時だった。前を歩く白衣の背が止まった。
ロバートが何かを叫んだ。プリーズ、までは俊哉にも聞き取れたが、それから先のネイティブな発音はろくに聞き取れなかった。
「少し下がって」
振り向いたロバートが促す。
俊哉は言われるままに後退した。
その三歩目だった。
突然、腹に響く機械音が響き始めた。わずかだが、足元が振動している。




