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『W.A.R.』  作者: sethy
STAGE 2
107/332

15

 男はロバートと名乗った。


 ロバート・ウィーヴァー。


 アメリカ合衆国の、ある研究機関の博士だという。


「君を呼んだのはぼくだ。強引な方法を取って申し訳なかった」


 得体の知れない変質者とはいえ、ナイフを振り上げる男を問答無用で銃殺したやり口は、確かに強引だ、と俊哉は思った。だが、ひとまずその強引さのおかげで今生きている身には、何も言えなかった。


 次の言葉を探す二、三秒の沈黙が流れた。


 何から話せばいい。


 何を言おうとしている。


 俊哉はロバートに探る眼を向けた。


 そしてどうやら相手にも、自分と同じような迷いがあると気づいた。


 それが確信に変わる直前、ロバートの背後にあの黒人が歩み寄った。早口な英語で何かを伝える。


「……準備ができたようだ。もう一つ見てもらいたいものがある。ついてきてもらえるかな?」


 共感、というものは、相対した存在を、ぐっと身近にするものなのだと、俊哉は初めて知った。


 言葉を選ぶ様子を見せるロバートに対して、自分と同じ迷いがあることを確信した俊哉は、恐怖心を抱かなくなっていた。


 深く頷き、歩き始めたロバートの背に、俊哉は再び従った。

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