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暗灰色の地面が見えた。
何かの目印に引かれた白い線が見えた。
その並び方、こんな目印の引かれた地面を、俊哉は知っていた。見たことがあるのだ。
いや、実際に見たことがあるわけではない。
だがそれは一昨日も、昨日も、そして何事もなければ今日も目にするはずのものだった。
ざあ、と水が舞い上がる音が聞こえてくる。半ば確信し、半ば混乱している頭の中で響く音は、想像を裏付けるものにしか聞こえなかった。俊哉はさらに目を凝らし、闇を見据えた。改めて、蠢く何かを確認しようとしたのだ。
蠢いていたのは、正確に言えば下部に見える全体だった。俊哉の目に止まったのは、揺れる水面で波が立ち、時折それが白んで見える光景だった。だがそれは浜辺に打ち寄せるような波ではない。ほとんど平面に近いような、緩やかな波だ。
海。それもかなり沖合いの海。
薄い雲のかかった空に月の姿はなく、星も見えない。暗く、重苦しい漆黒だけが広がる、海。




