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プロローグ

特にやる事も無くヒマだなぁという其処のあなた!

本当にやることが無いのなら、5分だけ付き合って見てください。

でも、大した時間潰しにならなかったとしても絶対に怒らないでください。

Ⅰ プロローグ


11月19日

 AM2:32


人々はかつて、山を神の住処として崇め、そして恐れた。


都会で見る星の10倍はありそうな眩い空の下、真っ黒に染まった山々に囲まれた高速道路のサービスエリアは深夜にも関わらず大型の輸送車両で込み合っていた。


ちょっとした祭りのような賑やかな電飾が並ぶ中、一際目立つ大型のトレーラーがゆっくりと停車した。


荷台の両側に流れるように点滅する派手な電飾のせいで、車体は停まってもなお動いているように見える。


運転席から降りてきた作業服姿の男は、ビールやチュウハイの空き缶を詰め込んだレジ袋をゴミ箱に投げ込みながら、フラフラとトイレに入って行った。


「おい、アレにしよう」


ベンチに座っていた2人組みの片方が小さな声で言った。


そいつは少し時代遅れのスタジャンのポケットに突っこんでいた手を出して、野球帽のツバをグイっと下げながら立ち上がった。


もう片方も、無言で頷くと垂れ下がった前髪の間から鋭い目つきを覗かせてのそりと動き出した。


黒いコートの裾が風になびく。


2人は他の車には一瞥もなく作業服の男のトレーラーだけを見詰めて音もなく駆け寄る。


エンジンは切っていない。


野球帽はおもむろにドアを開け運転席に飛び乗った。


「間に合うか?」


助手席に飛び込んだコートが言った。


「誰に向かって言ってる?」


「・・・」


「大丈夫だ、心配するな」


トレーラーは吠えるようなエンジンの唸りと共にライトを点灯させて動き出す。


酔っ払いの運転手が鼻歌交じりにトイレから出てくると、トレーラーのテールランプが本線へ加速していくのが見えた。


しかし


「・・・?」


見送る眼には状況が把握されていない。


フラフラと少し軽い足取りでトレーラーを置いたあたりへ歩いていく。


男は同じようなトレーラーが何台も停まっているのを見ながら不細工な笑みを浮かべた。


「あらら、飲みすぎたかな。へへへ」


運転手は焦点の合わない目で自分の車を探して、千鳥足であらぬ方向へ歩いていった。


走行している車がほとんどない暗い道を、2人組の乗り込んだトレーラーは東京方面へと快走していく。


エンジン音に違和感もなく、路面のつなぎ目のリズムにも安心感がある。


悪い車体じゃない。


車内のラジオは天気予報を伝えていた。


- 明け方にかけての降水確率は10%・・・


「追跡が掛かるまで、2,3時間か?」


「もっと掛かる。多分あの男、病院行きだ」


「何を仕掛けた?」


「別に何も。あんなに飲んで駐車場をうろつくんだ。接触ぐらいするだろ」


「そうか。あいつ・・・自業自得だな。じゃあ暫くは大丈夫か」


野球帽のつばがゆっくり頷いた。


「しかし酒臭いな、エアコン付けよぉぜ?」


コートの男は鼻をこすりながら顔をしかめた。


「エアコンは嫌いだ、窓を開けろ」


「何言ってんだお前、開けたら寒いだろ?今は真冬なんだよ」


コートの男は眼を丸くして窓を指差した。


「お前なら平気だよ」


「平気なわけねぇだろ、俺だって寒いものは寒いよ!」


「うるせぇな。こまけぇ事気にすんな。着いたら起こすから寝てろよ」


「臭くて寝らんねぇ!」


「るせぇ」ゴンッ


「う、、」


言うが早いか左ストレートがコートの顎にヒットした。


長めの髪の毛が背もたれに絡みながらゆっくりシートに沈んでいく。


「そう、それでいい」


満天の星空の下、トレーラーは順調に走っていく。




「久しぶりだな」


 「うん」


「元気そうで良かった」


 「うん、まぁ何とか」


「お母さんも元気?・・・そうか何よりだ」


 「すごい久しぶりだよね。最後に会ったのいつだっけ?」


「いつだったかな、でも、もうすぐまた会えるよ」


 「は?何言ってるの?今会ってるじゃん!意味がわかんない」


「ハハハ、そうか?」


 「?」


「最近どう?調子良い?」


 「受験が近いから大変だよ」


「好きでやってんだから文句言うな」


 「好きでって・・まぁいいけど」


「何か気になることは無いか?何か不安なこととか」


 「うん、別に何もないよ」


「じゃあ、これからは気をつけろ。おれもすぐ行くから」


 「え?何に気をつけるの?」


「嫌でも分かる」


 「何それ、何かあるの?変なこと言わないでよ」


「・・・」


 「ねぇ、ちょっと」


「・・・」


 「ねぇってば!」






この時期にしては暖かく感じる風が、少しだけ開いた窓から流れ込んできた。


彩香は頬をなでる柔らかな暖かさと、揺れるカーテンの隙間から差し込む陽の光に眼を覚ました。


ゆっくりと身を起こし、目をこすりながら仕切り幕の上に見える壁の時計を見た。


1時半を少し回っている。


「ん~・・・・ッと!」


大きく腕を突き上げ深呼吸する。


体の芯から目が覚めた。


前髪を軽く直すと、擦音に混ざって小さな音が聞こえた。


静かな部屋の中、シーツの擦れる音にもかき消されてしまいそうなとても小さな音だ。


耳を澄まして聞いてみると、何かの音楽のようだ。一定のリズムがある。


「何の音だろ?」


ベッドの脇の小物入れに外しておいたリボンを掴むと、天井吊りのレールにカーテンを滑らせた。


「先生、もう大丈夫みたいです」


室内を仕切るように置かれた背の高いキャビネットの向こう側、椅子の軋む音が聞こえる。


「先生?」


気配はするが返事がない。


いつもなら大きな声で何か言ってくるはずなのだが。


「岡野先生も私ぐらいのころは大変だったって言ってましたよね、大人になれば少しは楽になるんですか?・・あれ?」


キャビネットを回り込むと、そこにいたのは校医の岡野ではなくクラスの学級委員 中澤公彦だった。


先生用の椅子で足を組んでふんぞり返り、肘掛に頬杖を突いて携帯電話をいじっている。


「よぉ、やっと起きたか」


音は彼の手の中からだった。


「中澤、此処で何してんの?」


少し棘のある言い方になったのは半分は照れ隠しである。


中澤公彦はこちらを見上げると少し微笑んで立ち上がり席を譲った。


「此処で食べていいってよ」


机の上には給食が置かれていた。


彩香の中で1,2を争う好物メニューのミートソーススパゲッティとカサカサロールパンだ。


カサカサは彩香が勝手につけたネーミングだ。


生暖かい椅子に少し抵抗を感じながらも距離を調整して机に向かうと、香ばしい香りを思いっきり吸い込だ。


あぁやっぱりパスタはミートソースよねぇ。


などと至福を感じながら横目で彼をチラ見した。


同じクラスになってもうすぐ一年経つけど、会話したことはほとんどない。


「先生は?」


 「タバコ」


「・・・」


 「・・・」


会話が続かない。


ぎこちない空気に耐え切れず、彩香は牛乳パックに挿したストローを咥えた。


彼の手の中からの音量が少し大きくなり室内にはっきりと聞こえるようになった。


 「エアロスミスって知ってる?」


「知らない」


 「この曲も聴いたことない?」


「はじめて聴いた」


 「そぉ・・」


中澤公彦は少し残念そうな顔をしてため息をつくと、また携帯電話の画面を見つめた。


「中澤、戻んなくていいの?」


 「なんで?」


「今、授業やってるでしょ」


 「いいよ別に、もうすぐ終わりだし」


背もたれのある回転イスはギイギイと軋む音を立てて少年の体重を支えている。


前髪の長い少年は、やはり整った顔立ちをしていた。


色白の鼻はすらっと高く、男のくせにまつ毛が長い。画面を見つめる目は奥二重だ。


好みとかは別としてモデルになれそうだと思った。


そんなことを思いながら牛乳を一口呑みこむと、ゴクンと以上に大きな音を立てて喉が鳴った。と同時に中澤公彦がこちらを見た。


「一倉は高校、どこを受けるの?」


「え?えと、一応・・・開南高校」


「マジで?!俺も受けるよ!へぇそうなんだ、じゃあ一緒の制服着るかもな」


「そ、そうだね」


喉の音が聞こえて笑われると思った。


「でも、なんかいい感じの曲だね」


 「だろ!すごい古いんだぜ!これは親戚のおじさんから貰ったんだけど、このバンドは俺らが生まれる前から今もずっとやってんだよ。すごくねえ?おれさ、高校行ったら部活はしないでバンドやろうと思ってんだ」


そう言いながら無邪気に笑う中澤公彦の横顔が、少しだけかわいく見えたような気がした。


「それ、なんて曲?」


「あぁこれは、SWEET EMOTIONっていうんだ」


「甘い・・・感情?」


「いや、これは・・・」


公彦は突然口ごもり、唇がおかしな動きをした。


「・・・?」


「・・・やりたい気持ち?」


「ふーん」


彩香の眉間に皺がよった。


「違うよ!ほんとにそういう名前なんだよ!」


中澤公彦は耳を赤くしながら必死に何かを隠すような否定を始めた。


「別にどうでも、いいけどね」


「いや、ほんと違うって、いや、てか、お前の寝顔はマジかわいいなって思ったよ」


「はぁ?」


わが耳を疑った。


なんでこいつは私の寝顔を知ってんだ?


公彦を見る目に力が入る。


公彦はあわてて口を覆い隠したが時すでに遅く。。。




チャイムが鳴り、食後の一服を終えて満足した顔で戻ってきた校医の岡野美智代は、保健室の戸を開けるなり叫んだ。


「うわぁ!あんたたち何してるの!?」


床に丸まっている公彦に、彩香が手当たり次第に物を投げつけている。


牛乳パック、パンの切れ端、トレー、フォーク、だけでなく岡野の使う消しゴム、ノートなどが無残に散らばる。


「スケベ!変態!サイテー!」


「あんた何したの?」


岡野は慌てて彩香に抱きつき、暴れる両腕を制しながら公彦に言った。


「違う!何もしてない!なんか声が聞こえたから呼ばれたのかと思ったんだ!」


「あなたも暴れない!」


「だって!」


岡野の腕力でようやく押さえつけられた彩香は肩で息をしながら公彦を睨みつけた。


「ほら、落ち着いて」


床で丸まっていた公彦がゆっくりと立ち上がり、いじめられた子犬のような目でこちらを見た。


その顔を見た瞬間、絡み合った女たちは息をのんだ。


彼の頬と鼻の頭がいい具合に赤くなっている。


ミートソースによって染められた、コントの王道の酔っぱらいメイクだ。


しかもご丁寧に鼻から麺までぶら下がっている。


顔が整っているだけに、笑いのメーターが一気に振り切れた。


彩香は下を向いて息を止めた、顔がヒリヒリ熱くなる。


肩を震わせ体をこわばらせたが、岡野先生は大きな口をあけて遠慮なく大笑いした。


公彦は顔を拭きながら恨めしそうにこちらを見詰める。


「は?!」


その目に我に返った岡野はワザとらしい咳払いを一つしてから真顔になった。


「とにかく、一倉は片付け、中澤は床掃除。次の授業に間に合うように仕上げて行きなさい!」


公彦は肩を落として黙って従ったが、彩香は「セクハラ男!」と捨て台詞を残し力任せに保健室のドアを閉めて廊下を走って教室に戻った。


岡野と公彦は掛ける言葉も無くそれを見送ってから互いに目を合わせた。



13:50

私が教室に戻るとちょうど授業が始まるところだった。


「アレ?中澤は?」


隣の席の菜月は、親友の体調よりも学級委員の行方を気にした。


「掃除してんじゃない?」


「何それ?何があったの?!!」


興味津々オーラを体中から発散させて、今にも噛付きそうな勢いで身を乗り出してきた。


小学校からの長い付き合いだが、最近の彼女の嗜好には少しついていけない自分を感じていた。


「岡野先生に怒られてた」


「は??」


菜月の眼が輝きを増し、今度こそ噛まれると思った丁度その時、タイミングよく先生が入って来た。


興奮の火をそのままに渋々と姿勢を戻すその姿が、私には巣に戻るウツボのように見えた。


「さや、エミリたちに気をつけなよ。中澤が給食持ってくの、すごい反対してたし」


本人は囁く様に言ったつもりだろうが、地声が大きいため周りの数人にははっきり聞こえていた。


二つ後ろの席には、そのエミリが座っている。


彩香は無意識のうちにため息をついていた。


エミリが中澤に特別な感情を持っているのは何と無く知っていた。


菜月が公彦に対して自分を煽っていることも。大変迷惑な話だが。


菜月は公彦に興味があるのではなく、彩香が誰かとくっつくのを面白がっているようだった。


何もライバルの多い公彦でなくてもいいのに。


そう思って菜月を少し睨むと、視線に気づいた菜月は片眉を上げて不敵に微笑んで、すぐに教科書に眼を戻した。


こいつの趣味の一環で私の立場が悪くなるのか?と少し腹が立った。


10分ぐらいたった頃、教室のドアが開いた。


ワイシャツの襟元を薄っすら赤く染めた公彦が、仏頂面で入ってくるのをクラスのみんなが一斉に見詰めた。


「遅かったな、早く席につけ」


先生はそれだけ言って、すぐにみんなの意識を授業に戻した。


「はい、すみません」


公彦は私を一瞥したが、何も言わず席に着いた。


菜月はその瞬間を見逃さなかったようだ。


私と公彦の間の空気を読もうと両者の顔を交互に見やる。


でもそれは菜月だけではなかった。


背中から嫌なプレッシャーを感じて、また溜め息がでた。



15:35

ホームルームが終わって、夏で引退した部活にいつものように顔を出すと、元気な後輩たちがお約束で集まってきた。


体育会系女子、暗黙の鉄の掟にはしっかり従う。


用の無い先輩にも愛想笑いしてハキハキ返事する。


何もしていないのにもかかわらず、最後は決め文句


「ありがとうございました!!」


声をそろえて大きな声で!


これで先輩ご満悦。


ニコニコで帰っていく。


前の先輩も、その前の先輩も同じだ。


彩香たちは日々の行事としてこれを繰り返し、僅かな満足感を充電してから玄関に向かう。


「明日の社会科見学のグループ一緒だね」


彩香はウキウキした声だ。


明日は学年行事の博物館見学、体の良い遠足だ。


「あたしは気が重いよ。もういいよ、そういうの面倒クサいぃ」


菜月は力が抜けるように背中を丸める。


「中学最後の遠足だもの。楽しもうよ」


「小学生のようだな、お前は」


「まぁまぁ」


背後から数人の走る足音が近づいてきた。結構な勢いで迫ってくる。


「あっ!変なのがいた。」「ほんとだ」「空気の読めないヤツだ」


必要以上に大きな声に振り返ると、要注意人物の小笠原エミリとその取り巻き戸塚美和と田村静香のトリオが遠慮なく睨みつけてきた。


出たな、フランス人形!心の中で呟いた。


同性から見ても文句なしに可愛い。


色白の肌に、少し茶色い長い巻髪をリボンで一つ縛りにしているスタイルは、後輩達の中でちょっとした流行になっている。


公彦のことがなければ彩香も睨まれたりすることはなく、普通に話をすることもできたかも知れない。


そう思うと残念な気持ちになる。


そんな彩香の気持ちの知らず、エミリたちはこちらを睨みつけたまま、叩きつけるように靴を置いて悪態をつく。


「信じらんないよね。人の好意を何だと思ってんのかね」


「ほんと、調子付いてんじゃないの」


「バカなんじゃない」


大声の三人に圧倒されて、私たちは互いの肩に寄り添った。


「身の程知らずって言うんだよ」


エミリは殊更大きな声で言って睨むと、プイッと顔を叛けて歩き出した。


「やっぱり。今日のことは相当恨みを買ったね。ジェラシーだね」


「学級委員だから給食持ってきただけじゃない!」


「そんな理屈聞くような相手じゃないでしょ。もうこうなったら中澤を味方にするしかないね」


「どうやって?」


「付き合えばいい!彼氏彼女なら何も言えないよん!」


そう言った菜月の顔は満面の笑みだった。


「何言ってんの菜月、他人事だと思って楽しんでるでしょ?」


「いいじゃない。中澤だよ?結構もてるんだよ、あいつ」


「いいわけないでしょ!話飛び過ぎ。信じらんない」


私は頭にきてさっさと歩き出した。


「待ってよ。いい方法じゃない?」


菜月が靴を引っ掛けながら後についてくる。


「危ない!」


突然の声に私は身を翻した。


後ろから小走りに来た菜月を突き飛ばす勢いでバランスを崩して、絡むように床に転がった。


同時に後ろで何かが勢い良く弾ける音が数回続いた。


振り返ると玄関ドアの敷居辺りでいくつもの水風船が次々に破裂するのが見えた。


水飛沫をあげてはじける風船に、見る間に床は水浸しになっていく。


三人の笑い声が逃げていった。


私たちは床に手を着いた姿勢のまましばらく呆然としていた。


「何あれ?あきれた、子供みたい」


「いや私たちまだ子供だけどね、ってゆーか彩香、良く見えたね?」


「あれ?菜月が危ないって言ったんじゃないの?」


「何も言ってないよ、あたし」


「じゃあ誰?」


互いに目を合わ首をかしげた。


昼間はまだ少し暖かいとはいえ水をかぶるには寒すぎる、ましてや受験を控えているこの時期に風邪をひくのは絶対に避けるべきだ。


そこまで計算されたものではないにしろ、エミリたちは間違いなく攻撃を始めたようだ。


彩香はため息をついて小さな声でつぶやいた。


「中澤とエミリちゃんが付き合えばいいのに」


「俺と誰が付き合うって?」


頭上からの突然の声に心臓が止まるかと思うほど驚いた。


「中澤、居たの?」


「帰るとこだけど、何があった?」


公彦は水浸しの床を見ている。


「・・・」


どう説明したものか言葉に詰まっていると菜月が制服の埃をはたきながら立ち上がった。


「エミちゃん達だよ。中澤、分かるでしょ?」


公彦は床を見て深呼吸をすると、ゆっくりと視線を彩香に移して口を開いた。


「今から、ちょっといいかな?」


「いや今から菜月と」


「あっそうだ!犬の散歩に行かなくっちゃ」


言うが早いか菜月は走り出した。


「ちょっと!何言ってんの、あんたン家ハムスターしかいないでしょ!本屋に行く約束は?」


「またにして!じゃあね」


すでに声が遠い。


彩香と公彦はあっけに取られて、小さくなっていく背中を見送った。


「じゃあ、こっち、って事で」


公彦は苦笑いすると先導して歩いた。



河川敷の土手に吹く風は、昼間の温かさが嘘のように冷たく頬に刺さる。


彩香は公彦の自転車の荷台に首を縮めて乗っていた。


眼下のグランドでは小学生の男の子たちが、寒風にも負けず元気にサッカーをしている。


学校を出てから2人はずっと無言だった。


彩香の家からは駅を横切るルートが一番早いので、この川沿いに伸びる遊歩道には滅多に来ることがなかった。


小学校の時、自転車に乗れるようになったのが嬉しくて菜月と一緒に来て以来だから、数年ぶりになる。


辺りを照らす日の光がオレンジに代わり、頭の上の紫色の空との調和がとても綺麗だった。


彩香は眼を細めて夕日を見ていた。


ふと見上げると飛行機が飛んでいく東の空はもう真っ暗だ。


「あのさ、昼間のことはホントお前の誤解だから」


最初に口を開いたのは公彦だった。


「・・・」


「なんかコメントは?」


「もういいよ」


私はぶっきらぼうに答えた。


顔が見えない公彦にも私のほっぺが膨らんだのが伝わったようだ。はははと軽く笑って、はい!この件は終了。


「あのさ、小笠原エミリのことはあまり気にしない方がいいよ。少し機嫌が悪いんだろ」


「・・・」


「また何かしてくるかも知れないけど、そん時は俺が・・」


「・・・」


「そん時はさ!」


「うわっ、なに?!」


聞いてなかった訳じゃないのに、公彦が突然声を大きくしたので驚いて仰け反った。


自転車のバランスが僅かに崩れ、公彦の両腕に瞬間的に力が入った。


と、その時2人の目の前をヤガモの親子が横切った。


アッ


と言う間も無く、軸を失った自転車は土手の草むらへと倒れこんでいく。


私は素早く飛び降りたが足元は下りの土手。


草むらの盛り上がりで予想落下点を見誤り足の踏ん張りポイントがズレた。着地に失敗すると、勢いのついている体は前のめりに大きく回転して、刹那、体が重力から開放された。


目の前を草の藍と空の蒼が交互に回る。


公彦は自転車を足に挟んだ格好でヘッドスライディングの如く、すごい速さで土手を下っていく。


ヤガモの親子はそんな騒ぎは気づきもせず、何事もなかったように遊歩道を横切っていった。


最初に衝撃を感じたのは背中だった。何度か回転してから草の中に埋まった。


青紫の空色を見上げたまま呆然としていると公彦が血相を変えて近づいてきた。


「大丈夫か!?」


そう言う公彦の顔も泥や草で真っ黒だ。


「うん大丈夫」


体のあちこちが痛かったが取り敢えずそう答えた。


現場を見ていた通りがかりの人が数人集まってきて私たちを取り囲んで見下ろす。


「君は平気なのか?」


犬の散歩をしていた年配の男の人が公彦に声をかけた。


公彦は全身が泥とすり潰された草で真っ黒で、所々血が滲んでいる。


「僕は平気です」


気丈に答えてから、草むらに仰向けに寝ていた私に手を伸ばした。


「何処か痛い所はないか?」


「本当に平気だよ。びっくりしたけど」


背中がしびれるように痛かったが、ゆっくり体を起こした。


私たちのやり取りを聞いて安心した通りがかりの人達は、またそれぞれの自分のコースへ戻っていった。


「ごめん」


「カモの親子を轢くよりはずっといいよ。気にしないで」


公彦の出した手に首を振って、彩香は一人で立ち上がり、制服についた草を払いながら笑って見せた。


「ちょっとぉ!大丈夫ぅ?!」


自転車を遊歩道に押し戻した所へ、犬の散歩に行ったはずの菜月が駆け寄ってきた。

 


17:13


「そんなに大袈裟にしなくていいよ」


近くの公園の水飲み場で傷を洗うと、拒む公彦に、菜月は強引に彩香のハンカチを使わせた。


「ホントごめんな」


さっきからもう何回目だろう、公彦は他の動作を忘れてしまったようにため息とこの言葉を繰り返している。


「もう気にしないでよ。中澤のせいじゃないよ」


なんだか公彦が気の毒になってきた。


「私、人が消えたとこ始めて見た」


堪えきれなくなったのか、菜月はそう言いながら肩を揺らして笑いだした。


なるほど菜月の位置からは消えたように見えたのか。


傍から見るとそんなものかと想像すると結構笑える場面が浮かんできた。


公彦は頭を垂れたがすぐに「うるせぇ!こっちは大変だったんだ。股間にモロに・・」


と言葉を止めて苦笑いした。


「私もちょっと空飛んだよ」


笑いが止まらなくなった。自分のことなのに痛みよりも笑いの方が勝る。


彩香と菜月は顔を見合わせて笑い、公彦はすねたような顔をしながらも笑った。


いつの間には陽はすっかり落ち、西の空がオレンジ色を少し残すだけになっていた。


突然、強い風がビュウッと音を立てて吹き抜け落ち葉が舞い上がった。


公園の大きな木々が枝を揺らし、真上の空が強い風に煽られた雲で急速に暗くなった。


私は突風に体を小さくしながら空を見上げると、真っ黒な雲が生き物のように空で暴れているように見えた。


背後の茂みの中から鳥達が気味の悪い声を挙げて一斉に飛び立つ。


「何かこわいね」


菜月がボソッと言った。


風に舞う髪の毛が顔に纏わり付く。


「寒くなったな。風邪引かないうちに帰ろう。じゃあ明日な」


そう言うと、公彦は変な音を立てる自転車に乗って帰っていった。




菜月と公園の出口で別れる頃には辺りはすっかり夜の景色になっていた。


一人になると私はエミリのことを思い出し、気持ちが沈み自分の靴を見ながら歩いた。


駅に続くこの道は、小さな商店が並んでいて夕方になると買い物客や帰宅する学生などで少しだけ賑わう。


突然、横から突き飛ばされてよろめいた。


「おっと!ごめんよ」


若い男の声だった、振り向くと黒いコートを着た男の人と眼が合った。


「すみません」


私も反射的に謝った。


「・・・」


コートの男はその場に足を止め、少し驚いたような顔をしながら私を見つめる。


私はもう一度頭を下げて背を向けた。


「おい!きみ」


背中でコートの男が呼んだが聞こえないふりをして歩き続けた。

 

たまにこんな風に呼び止められる事があるが、経験上良い事は一度もなかった。


用も無いのに電話番号やカラオケを勧められて、断るのが大変なだけだ。


足を速めてその場を離れ、数人とすれ違ってからちょっとだけ振り向いてみた。


コートの男は見当たらないので安心してまたゆっくり歩いた。が、ふと振り返った。


「あれ?今の人、何処かで見たことがある。ような気がする・・気のせいか」


私は肩に下げたカバンのベルトを掛け直し、また下を向いて歩いた。


その姿を見ながら、電柱の陰に持たれかかっていたコートの男が微笑んだ。


「こっちは間に合った」


男は長い髪を掻き揚げて、彩香と反対方向へ歩き出した。





彩香の家は郊外にある集合住宅の5階にある。


毎日のトレーニングを兼ねて階段で行き来していた。


母曰く「彩ちゃんは私に似てかわいいからエレベーターは怖いわよね。カメラがどこまで役に立つか、お母さんはあまりし安心できないな」だそうだ。


ホントに心配してるのか、それとも自分の若いころの武勇伝を自慢したいのかよくわからないことをいつも言っている。


なので仕方なく前向きに日課にしていた。


バスケットで鍛えていたとはいえ5階まで一気に上がるとさすがに息が切れる。


はぁはぁ言いながら鍵を開けるのがいつもだが、フロアに付くと家の窓から明かり漏れて鍵が開いていた。


「あれ?お母さん?」


少し早足になる。


「ただいまぁ!お母さんお帰り!」


開閉に大袈裟な音を立てる鉄製のドアを開けて大きな声で言うと、靴を投げ出してリビングへ駆け込んだ。


「お帰りぃ!たまたまだけど交替が上手くいったのよ」


カレーの香りとともに愛想のいい声が返ってきた。


「電話かメールくれれば良いのに」


「サプライズよ!いいでしょ?」


「無理して若い子の言葉使わないでよ。聞いてるほうが恥ずかしい」


「嫌なこと言わないの。お母さんまだ30代なんだから」


「えへへ、いいねいいね!いい匂い」


私は鞄を隣の部屋に投げ込んでダイニングへスキップした。





・始まり


11月20日00:05


彩香たちが夕方走っていた土手の対岸は歴史のある倉庫群だ。


百年ほど前は貿易港として栄えた町だ。


しかし今はその面影はなく、改革の名の元、近代的な高層ビルや新しい商業施設が立ち始めている。


都心に追いつくべく建設ラッシュに沸く高層ビルの中で、ダントツの高さを誇るガラス張りの塔は夜空を映し漆黒に聳え立っていた。


スカイガーデンー


間近で見上げる者はその大きさに圧倒され、しばし言葉をなくすだろう。


またある者はその桁違いの高さをそのまま畏怖に転換するかもしれない。


その塔は完成を間近に控えた背丈310メートル57階建ての超高層ビルで、上層階の工事を僅かに残し年末の竣工を目指した最終工程に入っていた。


背景の空に僅かに瞬く星を映すあどけない瞳の中、その塔はシルエットとなり真ん中を縦断していた。


橋本伊代は15歳。鳴開高校付属中学の3年生だった。


伊代は髪の毛を湿った芝生に靡かせて、空を仰ぐように大地に寝転んでいる。


冷たい風が制服のブラウスの襟を軽く揺らした。


右腕には8月の誕生日に父から贈られたプラチナの時計が、午後9時7分を指したところでフェイスグラスごと壊れ止まっていた。


この空を見上げてからどの位の時間が経っただろうか。


伊代の周りには同じ色のジャケットを着た男たちが目まぐるしく右往左往している。


写真を撮る者、手元のボードにメモを書き込む者、番号の付いた小さなパイロンを並べて、チョークで地面に円を描く者。


伊代の周りもチョークで形を書き込まれた。


「現場保全完了」


「了解。搬出始めます」


無線機越しに事務的な会話が取り交わされる。


大きな黒い塔の足元は投光機や赤い回転灯で照らし出され、周りの暗闇をポッカリとくり抜いていた。


伊代がどうやって中に入ったのかは不明だったが、巡回の守衛が発見した午後11時47分には既に魂が抜けただの肉の塊になっていた。


フラッシュが瞬き皆が忙しなく駆け回る中、一人の中年男が横たわる伊代のそばに近づいてきた。


シワくちゃのコートに、襟の寄れたシャツ。ネクタイは閉め方が緩いのか無造作に曲がっていて、合成皮の革靴は埃にまみれ真っ白だ。


「遅いじゃないか小田桐課長、それじゃ若いモンに示しがつかんぞ」


先程から伊代の横にしゃがみこんで、変色したその肢体を弄りまわしている白髪交じりの小柄な男は、後ろから近づく気配に振り向きもせずに言った。


「早いほうだけど?」


小田桐は目を擦りながら間の抜けた声で続ける。


「害者の身元は?」


「ほれ、生徒手帳が有る」


白髪はしゃがんだまま肩越しにそれを手渡した。


「まだ中学生じゃないの、どうなってんだい?」


ため息交じりに肩を竦めて小さく首を振った。


「詳しいことはまだ・・だがこれを見てみな」


白髪は近くにいた鑑識員に合図して明かりを向けさせると、伊代の腕を掴み上げてブラウスの袖をまくった。


真っ白な肌が露出すると小田桐は思わず叫んだ。


「何だそりゃ!?」


その肌には墨で落書きしたような不気味な模様が描かれていた。


目を凝らしてよく見るとそれは血管だった。


白い肌の中くっきりと黒く、まるで大木の枝が展開するように不規則な模様を浮き上がらせている。


「今までの経験からは全く予想も付かねぇな。新種の薬品か、それとも何かウィルスみたいなモノか・・いずれにしろ、よーく診て見んことには」


白髪のシワガレ声がトーンを落として言った。


「課長!小田桐課長!」


背後からの張りのある声に2人が振り返ると、20代後半の青年が駆け寄ってきた。


その眼光は鋭く、表情は固い。


着ているスーツは周りの刑事たちが着ているものとは違って、一見してオーダーメイドだと分かる。


歩く所作にも微塵の隙も無く、全身に張り詰めた空気を纏っていた。


「大井検視官もご一緒で・・」


肩で息をしながら青年は白髪を見て軽く会釈した。


「おう、君か・・」


大井は応えて上げた手をそのまま頭上にまわし、白髪の後頭部をかいた。


「・・?」


「園茨です。本部の園茨です」


「おぉ、そうだった。園茨君だ。つい度忘れしてしまってナ」


園茨は口の端を嫌味っぽく少し上げると、視線をすぐに小田桐に戻した。


「課長、至急本部に連絡を入れてください。携帯電話がシートに置きっぱなしです」


「わざとだよ。嫌なんだよね、ピロピロうるさくって」


園茨はニコリともせずにその言葉を流し、小田桐に電話を手渡した。


「冗談だよ。用件は解ってる、『至急戻れ』だ。君は先に車に」


小田桐は面倒臭そうに眉間にしわを寄せながら携帯電話の画面を確認した。


園茨は大井に一礼しすると踵を返し、回転灯の瞬く車の群れへ闊歩して行った。


園茨の背中が見えなくなると、大井は溜めていた息を吐き出した。


「ふう、なんか雰囲気のある奴だな」


「だめだよ、おやっさん。本店の人の名前ぐらい覚えとかなきゃ。高年期かい?」


「馬鹿言ってんじゃないよ。ホントに度忘れしただけさ。あれだろ?研修が済んだのに態々志願して所轄に残った変り種ってーのは」


「変わってるというかね、焦ってるんじゃないのかな。同期が公安に居るらしいし、早く実績を作りたいんだろうな」


言いながら小田桐はタバコをくわえる。


「ふん、キャリアらしい。そんなに手柄がほしいのかね」


「俺たちとは違うんだよ。だけどちょうど良い。このヤマで手柄を立てれば直ぐに戻れるんだろうぜ」


「何て言い草だ、ホトケの前だぞ!ったく」


「おお、こりゃ失礼した」


小田桐はそう言って両手を合わせる。


「とりあえずまた連絡するから、頼んますね」


調子のいい男だった。


言い終わらないうちに踵を返すと携帯電話を耳に当てた。


「あぁ署長ですか?小田桐です。どーも」


大井はその背中を見送りながらポツリとつぶやいた。


「奴も変わったなぁ、昔はもうちょっと・・」


小さなため息をついて再びしゃがみこむと、膝に乗せた手の甲にポタッと水が落ちた。


片目を細めて真っ黒な空を見上げると大井は小さく舌打ちした。


さっきまで僅かにあった星が全て無くなり、街のネオンの光を鈍く反射した灰色の雲に空一面覆われていた。


「ありゃ。とうとう来ちまったか。おぉい急げよ」


辺りを駆け回る鑑識員たちに発破をかける。


限りなく黒に近い灰色の空から、冷たい雨粒がぱらぱらと落ちてきたのはそのすぐ後だった。




00:08


彩香は机の上の勉強道具を片付けて大きく伸びを一つした。


「お母さん」


襖の向こうにいる康代に声をかけるが、返事はない。


「もう寝てるのか」


部屋の照明を消し、カーテンを開けてからベッドに潜り込むと、窓から入る僅かな街の明かりが部屋の中を淡く照らした。


青白く浮かび上がる部屋が何とも言えず落ち着く。それをぼんやり見ながらだと普段ならすぐ眠りに落ちるのだが、今日はなかなか瞼が重くならない。


そういえば今日は昼寝をしたんだっけ。


ぼんやりと天井を見つめると微かに雨の音が聞こえてきた。


明日も雨かな?何と無く憂鬱な気分になってきて今日の出来事が頭を廻った。


眼を閉じると順番に顔が浮かんでくる。


公彦の顔、何考えてるか分からない横顔。


今まではホントに話もしたことがなかった。


学校行事の連絡として何度か会話をしたことはあった、いや、会話じゃないな。

一方的に伝言を聞いて返事をしただけ。


学級委員だし、何か発言するときはクラスのみんなが公彦を見てたから一緒になっ

て注目したことは何度かあったけど、個人的に興味を持ったことは無かったな。


今日になって何をいきなり?同じグループだし明日も話しをするのかな。


緊張するな、何を話せばいいんだろう?


菜月の顔、いつも笑ってる顔。


小学校2年からの付き合いだからもう8年!いろいろあったな。


何かあると一番に伝えたのは菜月だった。


いつも彩香の一歩先を行っている何かと頼りになる存在。


結構わがままだけど思い遣りはいつも感じる。


今日も事のそのひとつ。


そういえば菜月は何をしたいんだろう?変なことを言ってたな。


エミリの顔、モデルみたいな綺麗な顔、でも冷たい感じ。


彩香とは性格も何も全て反対に見える。


話をしても、お互い理解できるところは無いんじゃないかな。


そもそも話をしたことは無いけど。


使ってる言葉(単語)の意味が分からない、何語なのか、新しい言葉を使えるのか?行動の一つ一つに迫力がある。


廊下や階段ですれ違うとき、身長が同じ位なので体育の授業で組み体操をやるとき、必ず睨まれる。


明日から何かされるのかな?やだな。


中澤が何か言ってたっけ。


「気を付けて」


思わず跳ね起きた。それは女の子の声だった。


眼を閉じていた彩香の耳元で、はっきりとその言葉は聞こえた。


眼が暗闇に慣れたせいでさっきよりも薄明るく見える部屋の中を見回す。


変わったところはない。


部屋の隅、光の届かない暗闇をジッと眼を凝らして見てみる。


ほんの少しその暗闇の中に何かが動いた気がしたが「有り得ない」と呟いて、またベッドに潜り込んで、掛け布団を頭まで被った。


閉まっている窓のカーテンの裾が少し揺らめいたのを、彩香は気付かなかった。


今回、最後まで読んでいただいた方々には心の底から感謝いたします。

乱文、稚拙文にお付き合いいただきましてありがとうございました。

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