詩小説へのはるかな道 第97話 路地の奥に何かがいる
原詩: 路地の奥に何かがいる
犬が 路地の奥を見つめています
何もないはずなのに
いつからか
音は途切れ
風も止まり
洗濯物の影だけが ゆっくり揺れています
犬は びくっとからだを震わせると
低くうなり始めました
ああ ああ
わたしは 知りたくなかった
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詩小説: 路地の奥に何かがいる
深夜の散歩の途中で、愛犬のマッシュが急に立ち止まりました。
そこは、住宅街の隙間にひっそりと口を開けた行き止まりの路地でした。
「マッシュ、どうしたの? 行くよ」
リードを引きますが、マッシュは石像のように動きません。
その視線は、照明もない真っ暗な路地の先に釘付けになっています。
わたしには何も見えません。
あの路地の奥には、この世ならざる「何か」が潜んでいるのでしょうか。
恐ろしい幽霊でしょうか、未知の怪物でしょうか。
ああ、ああ。 わたしは怖いのが苦手なのです。
突然、マッシュはキャンと鳴くと、しっぽを激しく振り始めました。
すると、路地の奥から、一人の男がゆっくりとこちらに歩いてきました。
「だれ? だれなの?」
「……あ、見つかっちゃったか」
それは赤い顔をした会社帰りの父でした。
「ビール飲みすぎたみたいで、ちょっと小用でね、ははは」
それで、人目のない真っ暗な路地の奥に行ったのね。
ああ、ああ、わたしは知りたくなかった。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:路地の奥に何かがいる
闇の路地 息をひそめて 立ち止まる
犬のまなざし わたしを置いて
見えぬもの 見えるふりして 胸が鳴る
影の奥には 影より深い夜
マッシュ鳴き しっぽの先に 灯るもの
恐怖と安堵が 同時にほどける
足音は 幽霊よりも 人くさく
赤い顔して 父あらわれる
知りたくない 真実ほどに 近くいる
路地の奥には 父の小用
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




